【連載】安倍元首相 暗殺の闇 第1部 残された謎(3) 凶行誘った誤情報・反アベ宣伝

安倍元首相 暗殺の闇 第1部 残された謎 (1)救命医と警察 背反する所見

安倍元首相 暗殺の闇 第1部 残された謎(2) 威力ある銃 1人で製造?

山上徹也容疑者は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する恨みから、同教団の友好団体であるNGO組織(UPF=天宙平和連合)に寄せられた安倍晋三元首相の動画メッセージを見て「殺害を決意した」という。

当初、教団の総裁を狙っていたというが「新型コロナの影響で来日しないため、このままいつまでたっても実行できないと思い、安倍元首相を標的にすることを決めた」という。しかし教団への強い恨みがなぜ安倍元首相暗殺に飛躍するのか、その間には相当の距離感がある。

各種報道によると山上容疑者は、安倍元首相の祖父である岸信介元首相が旧統一教会を「日本に招き入れた」ため「安倍氏を殺した」と話しているという。容疑者のものと思われるツイッターの投稿履歴においても「岸が招き入れたのが統一教会。(中略)安倍が無法のDNAを受け継いでいても驚きはしない」などと、同様の主張が見られる。

しかし、岸信介元首相は、教団の関連団体である共産主義の克服を掲げる政治団体、国際勝共連合と友好関係にあったが、教団を日本に招き入れた事実はない。このようなインターネット上の誤情報により、恨みの矛先が安倍元首相に向いたことは確かのようだ。

一方で、容疑者が事件前日、フリージャーナリストの米本和広氏に送った手紙の中では「安倍は本来の敵ではないのです。安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」とも記している。

山上容疑者について、中学時代の同級生だった女性は「まじめな性格で、周りからも人気があった」と振り返る。事件を知った時、「問題を抱えているようには見えなかった。孤独が(山上容疑者を)変えたのでは」と思ったという。その後、県内の進学校に入学。同校野球部が甲子園に出場した際は応援団を務めた。

かつて山上容疑者と奈良で親交のあったある教団関係者は、その人となりについて「いわゆる自己中心的な人間ではなく、むしろ家族や周囲に思いやりのある、また優しい性格をもつ人物」との印象を述べている。周囲とトラブルを起こしたという話もほとんど聞かない。

報道によると当初、山上容疑者は圧力鍋を購入し爆弾の製造を試みたが、対象をピンポイントで狙うには不向きで周囲の人々まで被害が及ぶことから銃の製造に切り替えたと供述している。そのように人命を尊ぶ意識を持っていた容疑者が、なぜ「本来の敵ではない」安倍氏をあえて殺害したのか。殺害を容認させたものは何なのか、との疑問が残る。

ブロガーの藤原かずえ氏は月刊「Hanada」9月号の「銃撃の原因となった『反アベ無罪』で、山上容疑者が、安倍氏への過激なヘイト感情を募らせた要因として、新聞・テレビ・インターネットに溢れている罵詈雑言など「安倍氏への常軌を逸したヘイト」を挙げている。

現在メディアの関心は、旧統一教会問題にばかり集まっているが、事件の全容解明には、誤情報や度を超した政治的ヘイト情報など、情報空間の問題も浮き彫りにする必要がある。(世界日報特別取材班)

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