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【連載】安倍元首相 暗殺の闇 第1部 残された謎(2) 威力ある銃 1人で製造?

右:事件現場から約90メートルの建物の壁に残る弾痕(奈良県西大寺国見町、世界日報特別取材班)

【連載】安倍元首相 暗殺の闇 (1)第1部 残された謎 救命医と警察 背反する所見

安倍晋三元首相の暗殺に使用されたのは、山上徹也容疑者による手製銃だった。インターネットを通じ材料を購入し、作り方の情報も得たという。

各種報道によると容疑者は「銃を作るたびに奈良県内の山中で試し撃ちした」と供述。この供述を元に、奈良県警は県内の山中で、試し撃ちに使われたとみられる木製の板やコンクリートブロック、ドラム缶などを発見している。押収した山上容疑者の軽自動車の中からは複数の穴が開いた木の板が数枚見つかっている。異なる素材のものを的に試し撃ちを重ね、銃の威力や精度を確認していたようだ。

試し撃ちが行われた現場は、正倉院の裏手からドライブウエーに入り、しばらく車を走らせ、さらに林の中の道なき道を奥へと進んだ辺りにある。車道から離れ木々に囲まれ薄暗く、たとえ銃声が響いたとしても、簡単には見つかりそうもない。ここで10回以上試し撃ちしたとの供述にも頷(うなず)ける場所だ。

現場付近をよく知る男性は「普段は車で通り過ぎるだけの場所だから誰にも気付かれなかったのだろう。警察が捜査に来ているのを見て、初めてここ(が試射現場)だったと知った」と話した。

山上容疑者は、襲撃事件前日の未明に旧統一教会の施設にも試射しているが、注目すべきはその威力だ。外壁には7カ所、弾丸とみられる金属片がめり込んでおり、うち2カ所は貫通していたとみられる。また近鉄・大和西大寺駅前の事件現場から約90㍍も離れた立体駐車場のモルタルの壁にも、3カ所、容疑者が発砲した流れ弾とみられる球状の弾丸がめり込んでいた。

この弾丸を捜査員が取り出す動画を見た元警視庁通訳捜査官の坂東忠信氏は、自身の銃の射撃経験などから「山上銃は手作りとされていて嘗(な)めていたが、凄(すご)い威力があると思った」と東京都内で開かれた講演会で語っている。

手製銃は、2本の筒からそれぞれ同時に6個の弾を発射することができる仕組みになっており、山上容疑者はこの銃を、動画投稿サイト「ユーチューブ」などを参考に自作したという。県警は事件当日、山上容疑者のマンションを家宅捜索し、手製銃5丁と火薬、鉄パイプや工具などを押収している。手製銃の中には鉄パイプが9本束ねられた大型のものもあった。

奈良県警は、手製銃の発射実験も行い、科学捜査研究所などで殺傷能力の有無などを確認したというが、かなりの威力を持つ銃であったことは疑いないようだ。

しかし銃の自作は、一歩間違えると暴発や爆発を起こす危険性もある。ネット上では「本当に一人だけの力で完成させたのか」「協力者がいたのではないか」などと疑問視する声もある。

銃を製作するに当たり山上容疑者は、「火薬を乾燥させるため」との理由で昨年3月から9月ごろにかけて、自宅とは別にひと月の家賃約2万円のアパートを借りており、昨年11月から今年2月まではシャッター付きガレージを再度契約している。

山上容疑者の銃作りに技術面、そして資金面で協力者はいなかったのか。銃の「完成度」は、その可能性を簡単に排除できないことを示している。

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