【連載】TBS「報道特集」 反統一教会活動家との〝接点〟(下)

公正中立欠き「放送基準」逸脱か

TBSが会員となっている日本民間放送連盟(民放連)は「放送によって傷ついたり不快な思いをする方が出ないよう、各社が『番組基準』を策定する際の参考」として、共通のルール「放送基準」をまとめている(公式ウェブサイト)。

そこでは「報道の責任」として次のように定める。「取材・編集にあたっては、一方に偏るなど、視聴者に誤解を与えないように注意する」。また「宗教」の項目では、「信教の自由および各宗派の立場を尊重し、他宗・他派を中傷、ひぼうする言動は取り扱わない」、さらに「宗教の儀式を取り扱う場合、またその形式を用いる場合は、尊厳を傷つけないように注意する」としている。

2020年2月、世界平和統一家庭連合の「孝情文化祝祭」催された祝福式(韓国京畿道、森啓造撮影)

「報道特集」(8月27日放送)は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の宗教儀式「合同祝福結婚式」(合同結婚式)に30年ほど前に参加したものの、その後脱会・離婚した元信者(女性)5人が出演。キャスターの1人、膳場貴子氏が彼女たちから「知られざる結婚の裏側や教団の実相」を聞いた上で、「合同結婚式は、この教団の人権侵害の最たるものだなと思った」と断罪した。

元信者たちは韓国人と結婚し、地方の農家に嫁いで貧困生活を強いられたり、夫の暴力的行為に苦しめられたりするなど、自身の体験を語った。

後藤徹氏(「全国拉致監禁・強制改宗被害者の会」代表)に対する12年5カ月に及んだ拉致監禁の加害者で、5人の中で最もよく話した兄嫁も「相手の人の顔とか雰囲気を見た時、全然タイプじゃなかったので、『えっ』と正直思った」と、結婚相手に葛藤を覚えたことを述べた。しかし、「韓国人に嫁ぐということは、王子様が捨てられたような犬をお嫁にしてもらうような立場で、本当に光栄だという話」を聞かされていたので、葛藤を打ち消して結婚相手を受け入れたと説明した。

膳場氏はこうした元信者たちの話を前提に「教団はカルト的な思考回路によって信者が辛(つら)さを感じない状態にした上で、見知らぬ人との結婚で心身ともにリスクを負わせる。人によっては取り返しのつかない人生を破壊されたというケースもある」と語り、合同結婚式と信者の信仰を否定した。

これに対して、後藤氏はTBSに送った抗議文の中で、自身に対する拉致監禁の加害者である兄嫁を出演させただけでなく、その深刻な人権侵害について謝罪させることなく「家庭連合に対する一方的な批判をさせ、その発言を公共の電波で流した」「(違法行為の)実行行為者を動員して家庭連合叩きに奔走する貴社の報道は、公正中立と言えるのか」と疑念を呈した。しかし、TBSはその質問には何も答えなかった。

家庭連合のウェブサイトによれば、合同結婚式は「全世界から集まった男女が、宗教・宗派、思想、民族や国境の壁を越え、神様を中心とした家庭を築くために神様を中心とした結婚式を執り行うもの」。その教えを信じて参加しても、番組に登場した元信者たちのように、結婚が破綻したケースはあったのだろう。幸福になれなかった人たちに寄り添うことは大切なことだ。教団のケアに不十分な点があったことを指摘し、対応に改善を求めることは報道機関の役割でもある。

宗教儀式の尊厳傷つける

一方、韓国には合同結婚式に参加し韓国人男性と家庭を築いている日本人妻は数千人存在することは番組も紹介した。

その現役信者たちを「カルト的な思考回路」で辛(つら)さを感じない状態にさせられた“犠牲者”とどうして言えるのか。過去に脱会・離婚した元信者の証言だけで、教団の儀式を「人権侵害の最たるもの」と断じることは、合同結婚式に参加し幸せな家庭を築いている信者の内心を踏みにじる言動ではないのか。教団による人権侵害を語る一方で、多くの現役信者の人権を無視するのはダブルスタンダード(二重基準)である上、宗教儀式の尊厳を傷つけることを戒めた放送基準にも抵触する。

しかも、後藤氏らがTBSに送った質問状にあるように、拉致監禁されて信仰を捨てさせられた兄嫁と同じように、他の4人も強制改宗によって棄教し、また番組出演に「脱会屋」の宮村峻氏が関与していたとすれば、彼女たちの発言の意味は大きく違ってくる。

立憲民主党の「旧統一教会被害対策本部」の会合で、宮村氏が多くの信者の脱会に力を尽くすとともに、今メディアで元信者が発していることに「大きく働いている」と紹介されたこと、TBSが後藤氏や視聴者への謝罪といずれの質問にも回答しなかった事実を考え合わせると、質問の最後にあった「貴社は公共の電波を用いて宗教弾圧を行っているだけではないのか」という疑念は深まるのである。

(世界日報特別取材班)

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