縄文時代中期の暮らし伝える

今から約5千年前、縄文時代中期の代表的な暮らしを伝える「一丈木(いちじょうぎ)遺跡」の紹介が秋田県埋蔵文化財センター(大仙市)で開かれている。隣接する美郷町(みさとまち)の所蔵品が中心の企画コーナー展だ。発掘された土器や石器、土製品など代表的な約百点を紹介。
県内では早くから知られた遺跡で、大地の西端に位置する。面積は4・5ヘクタールで、竪穴住居跡35軒のほか、貯蔵穴やお墓、配石遺構も見つかり、馬蹄(ばてい)側に住居が並ぶ環状集落と推定されている。
一丈木遺跡の特徴は、二つの土器の型式が混ざりあっていること。大きいものでは直径約30センチ、高さ約50センチもある深鉢で、煮炊き用。当時、県南部は「大木(だいぎ)式」が主流だが、県北の「円筒式」と混合した土器もあり興味深い。大木式はギザギザや渦、楕円(だえん)が描かれ、デザインがおしゃれ。
もう一つの特徴は、遺跡が湧水に近いこと。同センターから車で7分、東に進むと遺跡に着く。今は草地。3千~4千年に1度の大地震を起こす千屋断層が近くを通り何度も隆起した。美郷町は六郷(ろくごう)湧水群が有名で、遺跡に近い「黄金清水」の湧き水は美味。縄文人も利用したとみられる。
同展では石名館(いしなだて)遺跡も含め、石器(石斧(せきふ)、石棒、石皿)、矢尻や石匙(さじ)、土製品も展示。説明が分かりやすい。「大曲の花火」会場から車で約15分。登山で有名な真昼岳や、謎の多い払田柵(ほったのさく)跡も近い。入場無料。12月16日まで。
(伊藤志郎)