トップ国内沖縄県知事に玉城氏、宜野湾市長は保守系が再選

沖縄県知事に玉城氏、宜野湾市長は保守系が再選

辺野古移設当事者は「容認」示す

当選確実の報を受け、エイサーを踊る玉城デニー氏(中央)=11日午後、那覇市(森啓造撮影)
当選確実の報道を受けて、妻・秀子さんや孫に囲まれ笑顔の松川正則氏(右)=11日午後、沖縄県宜野湾市(豊田剛撮影)

選挙イヤーの沖縄で、天王山となる県知事選挙が11日に投開票され、「オール沖縄」勢力から支援を受けた玉城デニー氏=立憲民主、共産、れいわ、社民、地域政党・沖縄社会大衆党推薦=が再選を果たした。米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市は保守系現職が大差をつけて再選し、辺野古移設を容認する民意を示した形になった。(沖縄支局・豊田 剛)

宜野湾・名護市議選で保守系与党が過半数

知事選は、普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を掲げる「オール沖縄」が支援する玉城氏と自公が推薦する佐喜真淳氏による再戦となった。玉城氏は33万9767票を獲得し、佐喜真氏に6万4923票差を付けた。前回は翁長雄志知事が急逝したことで、オール沖縄陣営から後継指名された玉城氏に風が吹き、佐喜真氏に9万票の大差を付けたが、今回は現職の知名度を生かし、佐喜真氏を振り切った。

1996年に日米両政府が普天間飛行場の返還に合意し、辺野古移設計画が浮上して以降、7回目の知事選だが、政府が18年12月に辺野古沿岸部の埋め立て工事を開始して初めての知事選となった。自民は初めて辺野古移設容認を明確に打ち出して戦った。

当選を受け、玉城氏は、辺野古移設反対を示す意味で私に投票してもらったとし、「県民の真意、民意は変わっていない」と強調した。

ただ市町村別で見ると、普天間飛行場移設の当事者である名護と宜野湾の両市では佐喜真氏が玉城氏を上回った。

辺野古移設が民意であることを示す結果が、同日投開票された宜野湾市長選と同市議選、名護市議選でも示された。

普天間飛行場の危険性の早期除去が最大の争点になった宜野湾市長選は2018年の前回と同じ顔ぶれの対決となった。辺野古移設を容認する現職の松川正則氏が、元PTA会長の仲西春雅氏=立憲民主、共産、れいわ新選組、社民、地域政党・沖縄社会大衆推薦=を大差で破り再選を果たした。

松川氏は佐喜真市長時代に副市長として市政を6年半支え、知事選に出馬した佐喜真氏の後継となった。佐喜真氏の落選には「民意として真摯に受け止めたい」と厳しい表情で語った。普天間飛行場については「返還の道筋を付けたいという強い気持ちで、知事とも意見交換をしたい」と述べ、早期返還を強く求めていく決意を述べた。

宜野湾市議選(定数26)は、松川氏を支える与党が16議席を獲得し、過半数を維持した。これらの結果について選対本部長を務めた又吉清義県議は、「普天間飛行場の早期返還と辺野古移設を求める明確な民意が示されたと言える」と強調した。

普天間飛行場を受け入れる側の名護市議選(定数26)では、移設を事実上容認する渡具知武豊市長を支持する与党候補が3議席増やし15人に。辺野古移設に反対する野党側は2議席減らし11人となった。改選前は与野党が12人ずつの同数だった。

それでも、知事選で政府与党が推す候補が敗れたことの痛手は大きい。

選挙イヤーとなる沖縄で最大の戦いは知事選だった。今年に入り、市長選では自民推薦候補が「オール沖縄」系の候補に4連勝した。自民はこの勢いで7月の参院選に臨んだが、無名の新人候補はオール沖縄系の現職に得票率で0・5ポイント差まで迫ったものの敗北を喫した。

「勝てると思っていた参院選でつまづいて、そこから勝機が一気にしぼんだ」。自民党県連幹部は唇をかんだ。下地幹郎元衆院議員が出馬して保守票が割れたこと、さらに、自民党国会議員の旧統一教会との関わりや安倍晋三元首相の国葬をめぐって岸田政権の支持率が急落していることが逆風となり、公明党の動きも鈍かった。

沖縄の保守系シンクタンク、日本沖縄政策研究フォーラムの仲村覚理事長は、「国とのパイプや政府への経済依存ばかりを訴える選挙戦で、県民に浸透しなかったのではないか」と分析した。

評論家の篠原章氏は、「沖縄県民の矜恃(きょうじ)としての平和主義は理解する」とした上で「平和の実現のためには巨大な米国、中国、ロシアなどと日本がいかに対峙し、いかに協調するかに懸かっている」と指摘。「辺野古反対」ばかりを主張する玉城氏に注文を付けた。

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