悪魔を払い祖先の霊慰める

秋田県指定無形民俗文化財の羽立大神楽

羽立大神楽の獅子舞。両手に白い御幣を持ち激しく動く獅子=二ツ井町の「道の駅ふたつい」

白黒赤の胴幕が特徴

秋田県能代市二ツ井(ふたつい)町に伝わる県指定無形民俗文化財の羽立大神楽(はだちだいかぐら)の由来は、300年ほど前にさかのぼる。一人の至芸(しげい)に達した芸人が同町飛根(とびね)の羽立の里を訪れ、病に伏した。そこで集落の人が介護したところ、お礼に伝わったとされる。獅子の胴幕は白黒赤の段だら模様で、白い御幣(ごへい)を両手に持ち激しく動き回る。とてもリズミカルだ。悪魔払いをし、神社の例大祭で神輿渡御(みこしとぎょ)の先導をし地域を巡行する。

「ハーッ、イヤサカサッサ。ドッコイドッコイ」「悪魔を払うて~」との歌詞が一部聞き取れる。大太鼓、小太鼓、笛、鉦(かね)の囃子(はやし)が付く。

先日、二ツ井町の「道の駅ふたつい」で行われた「あきた水と緑の森林祭」のオープニングアトラクションで披露された。本来は7月24日の愛宕(あたご)神社の例大祭と、8月13日のお盆の時期に墓地や地域内各所で行われ、祖先の霊を慰める。保存会会長の工藤徳一郎(65)さんによると、新築祝いや結婚式などに呼ばれることも多いという。

この日は場を清めるジャラジャラ、口上、祓(はら)いの舞、天(あま)の舞、七の段、流し舞と続き、「過ちけがのなきように」との口上で終えた。途中、観客の間を回る光景も見られ、親しみの湧く獅子である。

資料によると、祭礼の日には、宿の神前に獅子頭を安置して灯明(とうみょう)をともし、お神酒を供え拝礼の作法から始まる。一行はお神酒を頂いて神社に向かい、神社に参入するときは獅子は「天の舞」を舞って鳥居をくぐり、社殿まで駆け上る。悪魔払いをし、囃子を替えて「流しの舞」を舞いながら神輿の行列を先導し、富根、羽立、駒形の各集落を回る。そして神社へ戻り、社殿を3周するとある。

二人獅子で、「後ろ足」は木の枠を広げ幕を大きく見せ、獅子頭の動きに合わせ幕をテンポよく大きく振る。また獅子の鼻には小さな剣が付いていて、位の高さを示しているという。全て三角形に舞って進むのが特徴的だ。

愛宕神社の例大祭には、同じく県指定無形民俗文化財の富根報徳番楽(とみねほうとくばんがく)も奉納される。

(伊藤志郎)