京都 維新参入で危機感強める立共 【連載】’22参院選 注目区を行く(1)

候補者の演説に耳を傾ける人々=京都市下京区

「京都のことは京都で決めよう。京都には大阪の改革はいらない」

イメージカラーの青いネクタイを締め、真っ黒に日焼けした福山哲郎が声を張り上げた。2議席をめぐって過去最多の9人が立候補した京都選挙区で唯一の現職。昨年11月まで立憲民主党幹事長を務めた福山の横には、代表代行の逢坂誠二と最高顧問で元首相の菅直人が並び、厳しい表情で手を振る。批判の矛先は京都に現れた新勢力、日本維新の会だ。

福山は2010年の前々回は自民党候補を抑えトップ当選、16年の前回も2位ながら次点の共産党候補を17万票以上引き離す楽勝だった。一方、非改選の2議席は、13、19年の直近2回とも共産が旧民主系に約1万票差で競り勝っている。ここ10年以上にわたり、京都は自民と、旧民主、共産が交互に議席を持つ構図が定着していた。

そこに割って入ったのが、大阪を本拠地として「全国政党化」を目指す維新だ。京都を「最重点区」として党幹部を重点的に投入する維新の“勢い”に加え、京都選出で強固な地盤を持つ国民民主党代表代行の前原誠司が、旧民主時代からの盟友・福山ではなく維新新人・楠井祐子を支援。選挙戦は一気に混戦模様となった。

自民、立民、共産の3党が危機感を強めるきっかけになったのは、今回と同じ構図で戦われ、参院選の「前哨戦」として注目を集めた今年4月の京都府議補選を維新が制したことだ。立民にとって京都は党代表・泉健太のお膝元でもあり、共産にとっては東京、埼玉と並ぶ選挙区選出の議員がいる貴重な選挙区。ともに維新には「負けられない戦い」だ。

公示後最初の週末、共産新人・武山彩子の応援に駆け付けた党委員長・志位和夫は、高齢者を中心に数百人の支持者が集まった交差点でこう切り出した。「どうしても一つ言っておきたいことがある。維新の会だ」。維新が議論すべきとする「核シェアリング(共有)」に触れ、「被爆国の政党の資格はないという審判を下そうではないか」と訴え、聴衆からは拍手が起こった。

これに対し維新は公示日に続いて大阪府知事で党副代表の吉村洋文が演説し、「自民でも立憲民主でもない第3の選択肢」とアピール。他候補と比べて20~30代の聴衆が多く、演説終了後にはグータッチや写真撮影を求める長蛇の列ができるなど「吉村人気」を見せつけた。陣営は「SNS層に届いている」と分析する一方で、「うちは3番目の位置だ。組織票もないし、まだまだ候補者自身の名前は知られていない」と警戒感を崩さない。

野党同士の戦いが過熱する一方、自民の新人・吉井章は地道な票固めを続ける。国家公安委員長の二之湯智から選挙区を引き継ぎ、序盤は屋内集会などを重ね組織票固めに注力。街頭に立つ機会も他候補に比べるとまだ少ない。自民にとって4月の府議補選の結果は「大きなショックだった」(選対スタッフ)。維新参入で当選ラインは30万票程度としながらも、従来の戦い方は変えず、「(福山と前原の)2人の対決に埋没しないよう頑張っている」(同)と力を込めた。(敬称略)(亀井玲那)

❶京都 維新参入で危機感強める立共 【連載】’22参院選 注目区を行く(1)
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❺東京 残る1議席めぐり激戦続く 【連載】’22参院選 注目区を行く(5)
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