円安の進行をどう止める 【連載】’22参院選 選択の焦点(下)

経済・物価高対策

現実直視し防衛力強化を【連載】’22参院選 選択の焦点(上)

国民に明確な選択肢示せ 【連載】’22参院選 選択の焦点(中)

参院選で最大の経済問題の争点は、連日のように生活関連商品の値上げが相次ぐ物価高問題であろう。

帝国データバンクによると、7月以降も食品の値上げは続き、今年中の値上げは1万品目を超える。値上げは食品ばかりでなく、ガソリンをはじめ電気・ガス料金などもある。値上げによる家計負担は年間で5万~7万円とみられ、賃金の伸び以上に値上げが続く状況は家計に厳しく、個人消費にもマイナスである。

値上げの理由には、ロシアのウクライナ侵攻などによる原材料価の高騰という海外要因のほかに、円安の進行が物価高騰に拍車を掛けていることがある。せめて円安の進行は何とかしてほしいということである。

こうした声は、家計ばかりではない。東京商工リサーチによると、1㌦=130円前後の円安水準について、回答した5667社の半数近い企業が経営に悪影響があるとし、特に中小企業で多かった。「円安による海外からの仕入れ価格上昇が輸入依存型の企業の収益を圧迫している」というのが、同リサーチの分析である。

この調査は6月初旬に実施されたが、現在、円安はさらに5円近く進んでおり、中小企業の苦境がうかがい知れる。

この数カ月で20円の急激な円安は、米国など内外金利差の拡大が背景である。米国は約40年ぶりの高インフレ抑制へ、15日には通常の3倍となる0・75%の大幅利上げを決定。大規模緩和を続ける日本との金利差がさらに拡大し、円安圧力が一段と高まっている。

大手メディアでの9党首による討論で、岸田文雄首相(自民党総裁)はじめ公明、維新ら6党首は日銀の大規模緩和策の継続を求め、立民ら3党首が見直しを主張した。多くの党首が日銀の現行政策を支持した形だが、理由は金利上昇による経済への影響である。

それはその通りだが、いきなり利上げというのは非現実的であり、まずは「異次元」といわれる量的緩和を少しずつ減らす、あるいは新発10年物国債の利回りで日銀が上限とする0・25%を上回るなど債券市場への対応や長短金利操作である程度まで金利の上振れを容認する柔軟な対応といったスタンスの変更はどうなのか。

日銀の現行政策容認は、国民に「円安容認」の冷たいメッセージを与えるのみである。政府・与党が決定した子供のいる住民税非課税世帯を対象とした給付だけでは十分でなく、対象を広げる必要があるだろう。(床井明男)