国民に明確な選択肢示せ 【連載】’22参院選 選択の焦点(中)

現実直視し防衛力強化を【連載】’22参院選 選択の焦点(上)

円安の進行をどう止める 【連載】’22参院選 選択の焦点(下)

憲法改正

公示日を控え自民党幹部から憲法改正について踏み込んだ発言が続いている。

岸田文雄首相(党総裁)は18日の党首討論で、自衛隊の9条明記、緊急事態対処など党の改憲4項目について「すぐに行わなければいけない改正だ。できるだけ時間をかけずに国民に選択していただく機会をつくるべきだ」と表明。茂木敏充幹事長は20日、「参院選後、できるだけ早く改正原案の国会提案、発議を目指したい」とまで語った。

昨年10月の衆院選の結果、衆議院では憲法改正に前向きな勢力の議席数が改憲発議に必要な3分の2を大きく超えた。先の通常国会では衆参両院の憲法審査会がほぼ毎週開かれ、改憲論議が動きだしている。

コロナ禍に続いて、ロシアのウクライナ侵略によって、国防や緊急事態条項を持たない現行憲法の不備が露呈する中、憲法改正にどう向き合うかを示すことは国政政党の責務だ。実際に、各党の公約には改憲に関する具体的な表現が増えている。

自民は、憲法改正を公約の七つの柱のうち一つに据え、「憲法改正を早期に実現する」と明記。野党の中でも憲法改正に前向きな日本維新の会と国民民主党は、内容に違いはありつつも、共に緊急事態条項の創設を掲げた。また維新は9条に自衛隊を明確に規定すると表明。国民は具体的な改正案までは示していないが、自衛権の行使の範囲や自衛隊の保持・統制のルールなどについて「具体的な議論を進める」とした。

一方、与党として「改憲勢力」に数えられる公明党は、「憲法9条1項、2項は堅持」する立場。自衛隊を9条に明記する自民案について「引き続き検討を進める」とはしているが、「多くの国民は(自衛隊を)違憲の存在とはみていない」と述べ、ほかの改憲勢力との温度差は明らかだ。

憲法改正そのものに反対する共産党は「9条改憲に反対を貫く」と従来の立場を強調。立憲民主党は野党第1党でありながら、6党の中で憲法改正に関する言及が最も少ない。改憲を前提としない憲法論議を進める「論憲」を主張し、9条に自衛隊を明記する自民案にははっきりと反対を表明している。自衛隊という人員、装備とも巨大な実力組織を憲法に根拠規定を持たないまま置いておくことが、党名に掲げる立憲主義にふさわしいのか、大いに疑問だ。

参院選が終われば、衆院解散がない限り3年間は大きな国政選挙が行われず、じっくりと改憲に取り組める「黄金の3年間」に入る。国家の根幹となる憲法の在り方について、国民に広く訴える絶好の機会に、各党は有権者に明確な選択肢を示すべきだ。(亀井玲那)