
北朝鮮による日本人拉致被害者全員の即時帰国を求める「国民大集会」(主催=拉致被害者家族会など)が29日、東京都内で開かれた。岸田文雄首相はあいさつで、「いまだに多くの被害者の方が北朝鮮に取り残され、本当に申し訳ない」と述べた上で、金正恩総書記と無条件で直接向き合う決意を示し、「全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け、政府を挙げて全力で取り組む」と語った。集会には、被害者家族や支援者など約800人が参加した。
首相は、日米首脳会談でバイデン大統領に「拉致問題解決へ向け、日米で緊密に連携していくとの強い決意をしっかりと示していただいた」と述べた。また「日米豪印(クアッド)首脳会談でも、同様に各国から力強い支持を得た」と強調した。
横田めぐみさん=拉致当時(13)=の弟で家族会代表を務める拓也さん(53)は「拉致事件を解決するのは米国でもなく国際社会でもなく、日本自身の責任だ。主権・人権を取り戻すために岸田総理には強いリーダシップを期待したい」とあいさつした。
めぐみさんの母早紀江さん(86)は、2002年の小泉訪朝以来20年間、拉致被害者が戻っていないことに触れ、「日本の国はしっかりとしなければならない」と、もどかしさをにじませ、「日朝首脳会談を即時実行し、心(腹)を割って話し合って」と訴えた。
田口八重子さん=同(22)=の長男の飯塚耕一郎さん(45)は「拉致問題にこれ以上の停滞は許されない。あらゆる手段を使って、(日朝)首脳会談に向けて動く必要がある」と話した。
集会では、日本政府と北朝鮮に対し、全拉致被害者の即時一括帰国の早期実現を求める決議などが採択された。