あけび蔓細工職人、中川原信一氏/秋田県 写真と作品展 実演も

日本を代表するあけび蔓(づる)細工職人、中川原(なかがわら)信一氏(秋田県横手市在住)の仕事内容を書籍と写真、作品、そして夫妻による制作実演とトークイベントを通して紹介する出版記念展が2日間にわたり先日、秋田県立美術館で開かれた。主催はgallery KEIAN。

同氏の作品は「何年待っても一度は手にしたい」と人気が高い。初日は東京、九州、広島など遠方からも駆け付け熱心な愛好者でにぎわった。『中川原信一のあけび籠』は2019年に刊行されたが、出版記念展は新型コロナウイルスのため延期されていた。

撮影を手掛けた白井亮氏の写真約30点と、親子2代にわたる名工、中川原十郎・信一両氏の作品約30点を、秋田県立博物館収蔵品を含め展示。手提げ籠、平籠、小物入れ、背負い籠、状差し、籾(もみ)通しなど実用品が並ぶ。

夫妻は共同作業で、こつこつと籠作りに携わり、控えめな点も好感が持たれている。妻の恵美子さんによると、籠1個はほぼ1日で製作できるが、材料のあけび蔓の採取と加工が大変な作業。主に9月から11月にかけ、ハチや熊に出合う危険にも遭遇しながら、藪(やぶ)の中をかいくぐって集める。乾燥や後処理にも多くの時間をかけ、その結果、丈夫で美しい籠が出来上がるという。

約50年にわたり信一氏の籠を愛用する70代女性は「買い物籠としてほぼ毎日使います。20年ほど前、飼い犬に籠をかまれましたが、修理しました。ストッキングに触れても大丈夫ですよ」と自慢していた。

(伊藤志郎)