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山梨県道志村のキャンプ場近くの山中で発見された人の骨が、2019年9月に行方不明になっていた小倉美咲さん(当時小学1年)のものと判明した。生きて帰ってくることを信じていた母の心中は察するに余りある。
最初に発見された後頭部とみられる骨は傷みが激しく、個人を特定できる細胞核のDNAは採取できなかった。そのため、母系の血縁関係を特定するミトコンドリアDNAを鑑定したところ、美咲さんの母とも子さんの親族と分かった。そして後で発見された肩甲骨から細胞核DNAを採取することができ、特定につながった。
古人骨からDNAを採取する方法の発達は、人類の起源やその系譜を研究する分子人類学でも大きく貢献している。当初はミトコンドリアDNAしか分析できなかった。それが06年に大量の遺伝子情報を持つ核のDNAの解析が可能となることによって、飛躍的に発展したのだ。
30万年前にアフリカ大陸で誕生したとされるホモ・サピエンスが、どのようにして世界各地に広がっていったか。古人骨から採取したDNAを現代人のそれと比較することによって、その経緯が細かく解明されつつある。
DNA鑑定は法医学分野でも大きく貢献し、犯罪捜査を大きく進歩させた。ただ美咲さんの遺骨は、子供の足ではまず行けないような場所から発見されるなど、不審な点も残る。
山梨県警は、事故、事件の両面で捜査を継続する。真相を明らかにしてほしい。