北海道博物館 北海道化石会が50周年記念し展示
“原石”搬送のワクワク感とクリーニング後の達成感

北海道はアンモナイトの宝庫といわれている。明治初期から道内各地にアンモナイトの化石が存在することは地質学者などの間で知られていたが、一般人が余暇などを利用し広く採集しだすのは戦後のこと。そうした中で北海道化石会(藤原寛一会長)は、今年発足50周年を迎えるが、それを記念し会員個人が集めたアンモナイトの展示会を道立北海道博物館(札幌市厚別区)の協力を得て開催している。(札幌支局・湯朝 肇)

「山から持ってきたノジュール(化石が入っていると思われる大きな丸い石)を家まで持って帰るのですが、どんな化石が入っているかというワクワク感、そして長い時間をかけてクリーニングしていくと出てくるきれいな形のアンモナイト。その時の達成感は何とも言えません」と藤原会長は語る。
現在、北海道博物館では同研究会の結成50周年を記念し、会員一人ひとりが採集したアンモナイトの数々を展示する化石展「アンモナイトと生きる~50年の歩みとこれから」(2月19日~5月22日)を開催中。
今回の展示会の特徴について、同博物館の圓谷昂史学芸員は、「北海道化石会の会員が発見した化石は、特にアンモナイト研究の発展に大きく寄与し、北海道博物館をはじめ全国の博物館に収蔵・展示されることで、多くの人にその魅力を伝えてきました。今回は50周年を記念し、会員が保有される自慢の思い出のアンモナイト化石150点と会員より当館に寄贈された化石25点を特別公開しています」と語る。
展示の構成は3章に分かれ、第1章は「北海道とアンモナイト」をテーマに、地層の変化など学術的な観点からアンモナイトを紹介。第2章は「私の自慢・思い出のアンモナイトたち」と題し、北海道化石会14人による個人のアンモナイトを展示。第3章では「アンモナイトと関わる人々」として同博物館と北海道化石会の関わりについて説明している。
この中で見応えがあるのは、さすがに会員の思い出のアンモナイトである。一口にアンモナイトといっても500種類以上ある。しかも、出てくるアンモナイトの形状が一様ではない。会員が「これぞ!アンモナイト」と称するものを出品したものばかりで、アンモナイト愛好家にはたまらない。
学校の春休みを利用して訪れた浦河第二中学校2年(現在3年)の遠藤大騎君は「自分もアンモナイトに興味を持ち2年前から探索しています。化石会の方々のアンモナイトはどれも素晴らしく、特にクリーニングが素晴らしいと思います」とうれしそうに話す。
期間中は「学芸員が語る!第19回企画テーマ展の見どころ」(4月16日)などアンモナイトに関連したイベントも行われる予定だ。詳しいことは、電話011(898)0466、北海道博物館まで。
■藤原寛一会長の談話
北海道化石会は発足して50年がたちます。かつて三笠市や夕張市から羽幌、さらに釧路市周辺は炭鉱が盛んでした。この辺りの白亜紀と呼ばれる地層からアンモナイトが出ることは明治初期の外国人技術者によって知られておりました。私自身、三笠の炭鉱に勤務しながら余暇を利用しアンモナイトの採集に時間を費やしておりました。アンモナイトへの興味は高校時代にさかのぼります。当時、技術専門課程を教えていた三笠高校の菊池正昇先生が生徒を連れて課外学習として化石採集を行い、私もそこに参加し、その魅力にはまっていったのがきっかけでした。
今回、北海道博物館で同会50周年を記念し、「アンモナイトと生きる」をテーマに特別企画展を実施してくださいました。これまでアンモナイトの展示会といえば、年代順あるいは種別によって分類したものが多かったように思います。ところが、このたびの展示会は私どもの会員が採集し保有するアンモナイトを会員それぞれのケースにして展示するというユニークな企画展です。現在、道内外に30人余りの会員がいますが、そのうち14人の会員のこれまで集めたアンモナイト150点を展示しています。会員にとって一つ一つのアンモナイトに思い出があります。そんな会員のアンモナイトに懸ける情熱や魅力などを知ってもらえればうれしく思います。