党初のチャレンジとなる統治指針、内容はこれから
自民党の機関紙「自由民主」(3・22)は、13日に行われた自民党大会を受けた紙面展開をした。今回は夏の参院選への決起を兼ねた大会で選挙区公認44人、比例公認26人、公認内定1人の候補者一覧が見開きで「国民の生命と国益を守り抜く/信頼と共感の政治を体現」のタイトルを添えて並んだ。
一方、岸田文雄首相の「総裁演説要旨」の見出しは、「改革政党であることを示していく」と、党改革が強調された。同記事の最後に「党役員の任期制導入やガバナンスコードの整備、女性や青年、地方の声を集めるための組織整備を行い、改革政党であることを示していく」と述べられたもので、昨年の総裁選の公約でもあった。
党改革は大会のもう一つのテーマだ。同紙は別の記事で「党改革へ新たな一歩/成長と進化へ 4項目の党則改正を決定」を載せている。①役員の任期制限②「ガバナンスコード」策定の明記③全国政調会長会議・全国女性局長会議・全国青年局長会議の明記④「地方議員センター」の設置―について党則に定めた。
総裁および役員の権限行使にガバナンスコード(統治指針)でルールを設け、党中央・全国の地方組織を糾合した党内世論を党の政策や決定に反映しようという方向は見て取れる。かつてのような“実力者”政治が現代の政治スタイルに合わないということだろう。
でなければ選挙で負ける、という危機感は、昨年の首相交代となる総裁選そのものだった。同紙は触れていないが、公認、党資金配分の在り方も問われた河井事件など不祥事をコロナ禍に加え、菅義偉前首相は国政補欠・再選挙など各選挙から敗色を濃くし、総裁選不出馬を決めた。
1期1年の役員任期は「引き続き3期を超えて在任することができない」と事実上3年とされ、対象には副総裁、幹事長、総務会長、政調会長、選対委員長、国対委員長、組織運動本部長、広報本部長を「念頭に置いている」という。
一方、岸田氏が総裁就任時から打ち出したガバナンスコードだが、策定すると党則に明記されたものの中身の議論はこれからだ。政党に限らず企業、団体など組織があれば人事、予算配分、決定プロセス、ハラスメントに問われないモラルなど取り決めが必要だ。
政党初のチャレンジとなるガバナンスコードであり、仏作って魂入れずとしてはならないだろう。
編集委員 窪田 伸雄