秋田県、「ストリートピアノ」で街おこし

設置率1位、人と地域の交流の場に、イベントで魅力発信

秋田県、「ストリートピアノ」で街おこし
ストリートピアノの魅力を伝えた「リレーコンサートキャラバン」=昨年12月19日、秋田市文化創造館(伊藤志郎撮影)

秋田県内には、誰でも自由に弾くことができる「ストリートピアノ」が街角や公共施設の約20カ所に設置されている。人口100万人当たりのフリーピアノ設置台数は秋田の12台がトップで2位に鹿児島8・6台となっている。その魅力を伝えるイベントが先日、秋田市文化創造館(秋田市千秋明徳町)で行われた。人と地域の交流が増え、街の活性化につながればとの思いが込められている。

主催したのは民間団体「ストピリエゾン」の今井卓也さんと鈴木太恵瑠さん。2人は共に小さい頃からピアノに親しみ、2019年7月、設置間もない「エリアなかいち」(秋田市)のストリートピアノで出会い、意気投合。21年度の秋田市文化創造館の支援事業に応募し7組の一つに選ばれた。このイベントも同館のパートナー事業。団体名は、ストリートピアノとフランス語のリエゾン(つながりの意味)を組み合わせた造語だ。

この日のイベントは、12店舗が出展した「としのせ★フリーマルシェ」と絵画展、クリスマスのオーナメントづくりと同じフロアで開かれ、来場者、関係者ともお互いに交流する場となった。会場にはストピリエゾンが持ち込んだ電子ピアノが置かれ、今井さんらはクリスマス前ということでサンタとトナカイの縫いぐるみ姿で登場。クリスマスの装飾を施したミニステージで演奏者を迎えた。

午前中は、ピアノが初めての人向けに、指一本でクリスマスの曲を弾けるようにワークショップを開催。その後は、事前応募の参加者や飛び込みの人など約30人が交代で電子ピアノの独奏やギター・合唱との共演を楽しんだ。演奏する曲は映画のBGMやアニメ、クラシック、歌謡曲とさまざま。中にはプロの三味線奏者の演奏もあり、最後は会場の全員で合唱して終えた。今井さんは「ストリートピアノは気軽に音楽を楽しむことができ、人と人との交流が生まれ、地域と人、地域と地域のつながりにもなるし土地の魅力を引き出すこともできる」と語る。今井さんらは、動画投稿サイト「ユーチューブ」やSNSを用い県内各地のストリートピアノと設置会場の魅力を発信している。

当初は月1回のペースで「リレーコンサートキャラバン」を開催する予定だったが、コロナ禍のため断念。昨年10月に仙北市森吉の「森のテラス」でようやく開催し、この日のイベントが2回目。ユーチューブでは田沢湖のそばにある「思い出の潟分校」や「JR大曲駅」、潟上市の「天王グリーンランド」、県南のストリートピアノを訪ねる旅などの映像を公開している。

鈴木さんは「ストリートピアノは、チケットを買うハードルもなく、弾く側、聴く側が同じ目線で気軽に生の音楽に触れることができます。はやりの曲だけでなく、ジャズやクラシックなどさまざまなジャンルを弾く人たちともつながっていけたらいいなと思っています」という。

後半にアニメの曲を演奏した30代女性は「まだ少しの曲しか弾けませんが、将来はショパンにも挑戦したいです。聴いている人がいるので気合が入りました」と言い、後片付けを手伝っていた。
(伊藤志郎)