トップ国内2022年選挙イヤーの沖縄、保守巻き返しなるか

2022年選挙イヤーの沖縄、保守巻き返しなるか

 2022年、日本復帰50年の節目を迎える沖縄県は選挙イヤーだ。夏には国政選挙の参院選があるが、県内でも秋の県知事選を筆頭に、米軍施設がある名護市や宜野湾市、那覇市など18市町村で首長選があり、30市町村議会で議員選が実施される。玉城デニー知事を支える「オール沖縄」革新勢力に対抗する、自公の中道保守がどれだけ巻き返せるか、目が離せない一年となる。(沖縄支局・豊田 剛)


8年間続く革新優勢、歯止めをかけた昨年の衆院選

 県内の有権者のうち、支持が揺るがない“岩盤層”は保革とも同数程度とみられている。長期的に見ると、沖縄の政治勢力は保革にバランスよく揺れ動いている。1998年12月から2014年12月にかけて、稲嶺恵一、仲井眞弘多(ひろかず)の両知事で4期16年の保守県政が続いた。
 保守県政に終止符を打ったのは、元自民系でありながら、共産など革新政党と一部保守勢力の支援を受けて当選した翁長(おなが)雄志(たけし)氏だった。それ以来、「オール沖縄」勢力と自公による対決が続いているが、翁長氏の逝去によってバトンを受け継いだ玉城知事まで8年間、革新勢力が優勢だ。
 14年11月の知事選では、翁長氏が36万票を獲得、仲井眞氏に9万票の差をつけた。その後、実施された衆院、衆院補選、参院の国政選挙、さらに、18年の知事選はすべて革新勢力が得票数で自公を上回った。

2022年選挙イヤーの沖縄、保守巻き返しなるか
共産党候補の応援演説でマイクを握った玉城デニー知事(右)=2021年10月17日、沖縄県那覇市首里(豊田剛撮影)

 それに歯止めをかけたのは昨年10月31日に行われた衆院選だった。沖縄全区で保守と革新の議席数は2対2と拮抗(きっこう)したが、得票数で自公が29万4455票で、革新の28万8711票を上回った。
 「オール沖縄」の共産主導が目立ち、翁長氏と行動を共にしていた一部保守系議員や経済界の重鎮が玉城知事の支援を取りやめるなど、革新勢力は弱体化傾向にある。その上、新型コロナウイルス感染の影響で経済が大打撃を受け、基地反対のイデオロギーよりも、経済や生活を優先させるようになったことが影響したとみられる。

選挙イヤーの皮切りとなる名護市長選、南城市と同日選

 選挙イヤーの皮切りとなるのが名護市長選だ。今月23日に投開票される。4年前、辺野古移設では「裁判の行方を見守る」と、事実上の移設容認の立場で当選した渡具知(とぐち)武豊市長(60)に対し、辺野古移設反対の立場で名護市議の岸本洋平氏(49)が立候補する予定だ。
 沖縄本島南部の南城市と八重瀬町と同日選になる。南城市では、前回僅差(きんさ)で苦汁を味わった古謝景春前市長(66)が、4年ぶりの保守市政奪還を目指す。前回同様、革新系現職、瑞慶覧(ずけらん)長敏氏(63)との一騎打ちになる見通しだ。八重瀬町は自公が推す現職新垣安弘町長(65)への対抗馬擁立の動きはなく、無投票になる可能性が大きい。名護と南城で保守が勝利すれば、参院選や知事選に向けて流れを引き寄せることができる。

自公、知事選・参院選「現職に勝てる」人選に難航

 参院選は7月25日(任期満了日)の前30日以内に行われるが、「オール沖縄」勢力が推す現職の伊波洋一氏(69)が再選に意欲を示している。一方、保守陣営は対抗馬の早期擁立に動いているが、6年前の参院選で比例当選した今井絵理子氏(自民)の選挙区へのくら替え案が浮上したものの、本人は固辞したとされ、人選の難航が予想される。

2022年選挙イヤーの沖縄、保守巻き返しなるか
選挙イヤーの天王山は県知事選だ(写真は沖縄県庁、豊田剛撮影)

 天王山となる知事選は9月29日に任期満了となり、同月中に実施される見通し。現職、玉城知事は再選の意向を示している。対する自民は、参院選と同様に、対抗馬擁立が難航しそうだ。前回出馬した佐喜真淳前宜野湾市長(57)を軸に複数の名前が挙がっているが、自民党沖縄県連幹部は「現職に勝てる候補を選ぶとなると容易ではない」とし、政治家にこだわらず経済界なども含めて人選する考えを示している。

石垣は安全保障に直結 革新、弱体化歯止めへ保革相乗り

 安全保障に直結するのは、尖閣諸島を有し、陸上自衛隊配備に向けて整備が進められている石垣市だ。2月27日に投開票される。4期目を目指す保守系現職、中山義隆氏(54)に対し、保守系市議の砥板(といた)芳行氏(52)が立候補に意欲を示している。その場合、宮古島市や与那国町と同じ自公対保革共闘という構図となる。離島部など保守が強い地域では、反基地でまとまる「オール沖縄」と異なり、保守系の政治家に革新陣営が乗っかるのが潮流となっている。自民県連は今後、こうしたケースが増えることを警戒している。
 米軍施設を抱える宜野湾市は9月29日、那覇市は11月15日、市長の任期満了を迎えるが、選挙期日が知事選と近いことから、知事選とセットの選挙戦となることが予想される。


= メ  モ =

主な選挙予定(令和4年)

 名称    任期満了日  選挙期日
     
名護市長選  2月7日  1月23日
南城市長選  2月11日 1月23日
石垣市長選  3月19日 2月27日
沖縄市長選  5月11日 4月24日
参議院選   7月25日
沖縄県知事選 9月29日
宜野湾市長選 9月29日
豊見城市長選 11月7日
那覇市長選  11月15日

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