五輪中止を叫ぶ「赤旗」

安保法反対以来の大合唱、都議選までの選挙争点

もともと五輪招致に東京都が名乗りを上げた段階から東京五輪に反対していた日本共産党は、中止の主張に何のためらいもない。昨年の五輪開催を目前にした新型コロナ発生で事態が急変したことを追い風に、今や東京都議会選挙に向け傘下団体を大動員しながら五輪中止運動を展開中だ。

その内容は逐次、同党機関紙「しんぶん赤旗」で連日のように取り上げている。例えば、6月13日付1面に「共産党躍進で五輪中止、命守れ」の見出しで、都議選候補の街頭活動の応援に入った志位和夫委員長、小池晃書記局長らの演説から五輪開催を進める菅義偉首相、小池百合子都知事を批判した。

また、昨年の都知事選に共産党などの応援で立候補した日弁連元会長の宇都宮健児氏をインタビューした「五輪中止 先見性ある共産党」(見出し)、愛知県医労連の「『五輪やってる場合じゃない』緊急アクション」などさまざまな中止運動の記事が載っている。

他に同日付だけでも、「専門家が警鐘 五輪開催の危険」(3面)と題して医療関係者5人の談話、同党候補の支持者、運動家の声や労働団体の街頭活動、五輪中止を主張するジャーナリスト高橋浩祐氏インタビューなど五輪中止論で紙面を固めた。党を挙げ、組織をフル動員して幅広い五輪中止運動を展開しているのだ。

野党共闘する立憲民主党も機関紙「立憲民主」5月21日号に「五輪より、ワクチン接種を優先すべき」と書くなど足並みをそろえている。立憲は都議選の公約に東京五輪について中止か延長を掲げた。コロナを理由にした五輪中止運動は、開催反対世論を刺激し、野党共闘にとっては安保法制定反対以来の攻勢材料と言えそうだ。

だが、五輪中止の訴えも賞味期限切れが近づいている。大会が7~8月に終われば後の祭りで、選挙の争点として有効なのは都議選までだ。

また、今回の都議選に現有18議席の共産党は31人の候補を擁立するが、苦しい戦いも予想される。皮肉にも共闘を組む立憲民主党に勢いが戻り、前回の民進党や前々回の民主党に失望した有権者の票が共産党に舞い込んだほどの雨宿り票は当てにできないとみられる。それだけに、コロナ感染で政権を追及して、五輪中止論を世論に響かせて支持を広げようと大合唱するだろう。

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