「政権交代」を書く「赤旗」

市民連合介して参加模索、補選・衆院選「申し入れ」で

今年は衆院選、東京都議選がある選挙イヤーだが、政府・与野党とも新型コロナウイルス感染への対応に追われ、各党機関紙上に選挙ムードはあまりない。が、菅義偉内閣の支持率が低下してきたところへ4月の衆・参院議員補欠選挙を前に共産党の政権参加を後押しする動きが出ている。

野党共闘の“触媒”となる市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)が、衆院選に向けた申し入れを4日に共産党、社民党、5日に立憲民主党、れいわ新選組に行い、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(2・5)は「政権交代へ一歩踏み出しを」との見出しで報じた。

「申し入れ」は、政府のコロナ対策を「失政」と批判し、医療拡充、雇用確保などの政策を掲げて「立憲野党」と呼んで支持する前述の各党などに選挙協力を要望。「総選挙に向けた政治転換の意志の明確化―連立政権の構想を打ち出す」などを求めた。また補選にも注目し、「4月に行われる三つの補欠選挙の重要性を指摘」している。

同紙には、「申し入れ」を受け取った小池晃書記局長の「次の総選挙で必ず政権交代を実現したい。共産党とともに野党連合政権をつくる政党間の合意が最大のカギだ」との発言が載るものの、同党は第1野党といった大勢力ではない。

さらに同紙は、9日付で「申し入れ」全文を載せた。この中で「総選挙における選挙協力の明確化」として「小選挙区においてできる限り多くの野党統一候補を立てることはもはや立憲野党と市民にとって自明の前提となりました。4月の補欠選挙から総選挙の戦いは始まります」と訴えている。市民連合の「申し入れ」は、共産党以外の野党に共産党との協力を「自明の前提」と迫るに等しい。

ただ、4月補選のうち二つは自民党議員の不祥事によるもの。緊急事態宣言下の夜の飲食など与党議員の離党・辞職にも批判がある。もう一つは立憲民主の弔い合戦だ。補選次第で万一、来る衆院選が2009年のように政権交代を問う選挙になれば、共産党の政権参加は大きな争点になる。

08年リーマンショック・世界同時不況は米大統領選でオバマ氏当選による共和党から民主党への政権交代となり、わが国でも09年に民主党などへの政権交代が起きた。コロナ禍の昨年は、米大統領選で現職トランプ氏が敗れた。与党にとって油断大敵である。

編集委員窪田伸雄

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