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両陛下 自然体で御公務


「常に国民」心にとどめ

 「常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、象徴としての責務を果たすことを誓います」。5月1日の即位当日、天皇陛下は皇居・宮殿「松の間」で行われた「即位後朝見の儀」で、はっきりと響く声で決意を述べられた。それから5カ月余り。皇后陛下と共に国際経験を生かして外国賓客をもてなし、即位後訪れた各地では人々と自然体で交流されてきた。

◇「四大行幸啓」で各地

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天皇、皇后両陛下と長女愛子殿下は、愛犬の由莉(ゆり)とともに、那須御用邸の敷地内を散策された=8月19日、栃木県那須町

 天皇、皇后両陛下は上皇、上皇后両陛下から、全国戦没者追悼式への出席や地方公務など、象徴としてのほぼ全ての御公務を継承。御即位後は、皇太子夫妻時代から取り組んできた国民文化祭も加わり、恒例の地方公務は今年から「四大行幸啓」となった。

 適応障害で療養が続く皇后陛下は、5月に全国赤十字大会に日本赤十字社名誉総裁として単独で御出席。6月に愛知県で全国植樹祭、9月には秋田県で全国豊かな海づくり大会、新潟県で国民文化祭、茨城県で国体と、四つの地方訪問に全て同行された。「努力と工夫」(側近)で体調を整え、皇后としての務めを着実に果たしておられる。

◇気さくに交流重ね

 人々と気さくに交流を重ねられる姿勢は即位後も変わらない。両陛下は8月の静養の際、栃木県の那須塩原駅前では炎天下の中、歓迎に集まった人たちと御懇談。陛下がハンカチで汗をぬぐいながら「ハンカチ王子」と仰って笑わせられる場面もあった。

 陛下は登山や写真撮影が御趣味。赤坂御所では保護された犬や猫を引き取って育てられ、「御一家で動物好き」(側近)で知られる。9月に訪れられた秋田県での式典では、以前鳥海山に登った思い出に触れ、動物愛護センターでは子供たちに愛犬の写真を見せられた。

 ともに留学経験がある両陛下の語学力が生かされる場面も多い。5月に国賓として来日したトランプ米大統領は「陛下は英語が大変お上手ですが、どこで勉強されたのでしょうか」と感嘆。元外交官の皇后陛下もメラニア夫人や、6月に来日したマクロン仏大統領夫人と英語やフランス語で親しく会話された。米紙ニューヨーク・タイムズはトランプ氏を迎えた際の皇后陛下の活躍ぶりを「新皇后はスターだった」と表現した。

◇新しい皇室像模索

 陛下は水問題の研究者としても知られ、水や災害をめぐる研究を通じて貧困や教育、平和などの国際的な課題に関心を寄せられてきた。即位前最後となった2月の誕生日記者会見では、水問題の研究で得られた知見を「これからの務めの中で大切にいかしていきたい」と述べられた。

 被災地見舞いや戦没者慰霊など、上皇、上皇后両陛下が御在位中に繰り返し行われた御公務は「平成流」と呼ばれ、現代の皇室に定着した。2月の会見で「象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を求め続けることが大切」と話された陛下。令和の時代にどのような皇室像を描くのか、象徴としての旅は始まったばかりだ。