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戦後70年「歴史学ぶこと大切」 天皇陛下、新年の御感想


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新年を迎えられる天皇御一家=2014年11月18日、皇居・御所(宮内庁提供)

  天皇御一家は1日、2015年の新年を迎えられた。天皇陛下は年頭に当たり、文書で御感想を発表。終戦から70年という節目の年を迎えたことに触れ、「この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」とつづられた。

 昨年の御嶽山噴火など災害による犠牲者や、東日本大震災から4度目の冬を迎えても、放射能汚染などで故郷に帰れない人々のことを気遣われ、「それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ、地域を守っていくことが、いかに重要かということを感じています」と述べられた。

 宮内庁は新年に当たり、天皇、皇后両陛下が昨年詠まれた歌のうち計6首を発表した。天皇陛下は伊勢神宮参拝や長崎市の原爆爆心地、広島市の豪雨災害による被災地を訪れた際の気持ちを、皇后陛下は学童疎開船「対馬丸」の犠牲者慰霊で沖縄を訪れた際に感じたことなどを歌にされた。

 昨年までは陛下が5首、皇后陛下が3首の計8首だったが、年齢にふさわしい活動の在り方が検討された結果、陛下が3首に減った。

 両陛下は1日、皇居・宮殿での新年祝賀の儀に臨み、皇族方や三権の長らからお祝いを受けられる。2日は新年の一般参賀があり、先月29日に成年皇族となった秋篠宮殿下御夫妻の次女佳子内親王殿下が両陛下らと共に国民の前に姿を見せられる。

 昨年、陛下は81歳、皇后陛下は80歳を迎えられた。今年は戦後70年の節目に当たり、両陛下は戦没者慰霊のため日米の激戦地となったパラオを4月にも訪問される予定。1月には阪神大震災から20年となる神戸市を訪れ追悼式典に御出席。全国植樹祭など恒例の地方訪問も含め、今年も多くの御公務が予定されている。

 陛下は昨年から、宮中祭祀(さいし)の新嘗祭で、深夜の拝礼を取りやめた。こどもの日と敬老の日に合わせた施設訪問は、今年から皇太子殿下御夫妻や秋篠宮殿下御夫妻に譲られる。宮内庁は園遊会で両陛下が歩かれるコースを短縮するなど、御公務の見直しを進めている。

天皇陛下の御感想全文

 昨年は大雪や大雨、さらに御嶽山の噴火による災害で多くの人命が失われ、家族や住む家をなくした人々の気持ちを察しています。

 また、東日本大震災からは四度目の冬になり、放射能汚染により、かつて住んだ土地に戻れずにいる人々や仮設住宅で厳しい冬を過ごす人々もいまだ多いことも案じられます。昨今の状況を思う時、それぞれの地域で人々が防災に関心を寄せ、地域を守っていくことが、いかに重要かということを感じています。

 本年は終戦から七十年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています。

 この一年が、我が国の人々、そして世界の人々にとり、幸せな年となることを心より祈ります。

両陛下が詠まれた歌

 【天皇陛下】(3首)

 〈神宮参拝〉

 あまたなる人らの支へ思ひつつ白木の冴ゆる新宮(にひみや)に詣づ

 〈来たる年が原子爆弾による被災より七十年経つを思ひて〉

 爆心地の碑に白菊を供へたり忘れざらめや往(い)にし彼(か)の日を

 〈広島市の被災地を訪れて〉

 いかばかり水流は強くありしならむ木々なぎ倒されし一すぢの道

 【皇后陛下】(3首)

 〈ソチ五輪〉

 「己(おの)が日」を持ち得ざりしも数多(あまた)ありてソチ・オリンピック後半に入る

 〈宜仁親王薨去〉

 み歎きはいかありしならむ父宮は皇子(みこ)の御肩(おんかた)に触れまししとふ

 〈学童疎開船対馬丸(つしままる)〉

 我もまた近き齢(よはひ)にありしかば沁(し)みて悲しく対馬丸思ふ