
糸満市摩文仁の沖縄県営平和祈念公園にある「台湾之塔」で6月22日、「第13回台湾出身戦没者慰霊顕彰祭」(主催=一般社団法人日本台湾平和基金会)が行われ、元日本軍属として戦争に参加した楊馥成(ようふくせい)さん(103)が参列した。
旧台南州生まれの楊さんは、日本軍の軍属として先の大戦に参加し、補給部隊の一員として食糧確保に奔走。楊さんのように台湾から戦地に派遣された日本軍人・軍属は20万人以上に上り、3万人以上が戦死したとされる。楊さんは戦後、大陸から移ってきた蒋介石・国民党政権から反体制異分子と見なされ、7年間投獄された過去を持つ。 「私が生きている間に、先に逝った仲間たちを何とか(慰霊)しなければ」と語り、楊さんは台湾之塔に献花し深々と頭を下げた。
会場で取材に応じた楊さんは、戦後80年を迎え、現代の人々に伝えたいことについて、「戦後、日本人は、『戦争で日本軍が東南アジアや中国大陸を侵略し、先人たちが悪いことをした』と、自虐的な考えを持っている」と指摘。「あの頃の日本人は、東アジアを白人の侵略から何とかして守ろうとした」と強調し、「自虐史観を持っていてはいけない」と警鐘を鳴らした。
式典には、同基金会の西田健次郎理事長や、台湾の在日大使館に当たる台北駐日経済文化代表処の周学佑副代表、国場幸之助衆院議員(自民党)ら約100人が出席し、戦没者の御霊を慰めた。
また21日には、前夜祭として、「日本台湾友情の絆晩餐会」が同市内のホテルで開かれ、参加者らは互いに親睦を深めた。