台湾政府は中華民国(台湾)の建国記念日に当たる「双十節」の10日、台北の総統府前で祝賀式典を開いた。頼清徳総統は演説で「中華人民共和国(中国)に台湾を代表する権利はない」とし、自由と民主主義が台湾の土地で育ったことを強調した。今年5月に総統に就任した頼氏にとって双十節での演説は初めて。
頼氏は演説で改めて台湾と中国は「互いに隷属していない」と述べた。5月の就任演説で主張した際には、反発した中国が台湾周辺で軍事演習を実施した。
台湾人は政治的立場によって台湾の名称を「中華民国」「台湾」「中華民国台湾」と捉える人々に分かれる。昨年の祝賀式典では、「中華民国」ではなく「台湾」を強調する方向性が示され、世論が対立。特に中国大陸から台湾に中華民国政府を移転させた最大野党・国民党は強く反発した。
今回の式典で頼氏は「中華民国」を前面に押し出すことで、政治的立場にかかわらず、「台湾人全体で台湾海峡の平和を守る」という考えを内外に示し、台湾人の団結を求めた。
頼氏は中台関係に関して、蔡英文前総統の「現状維持」路線継続を明言する一方で、蔡氏よりも強い表現で中台は対等だとの主張をしている。5日の双十節関連行事では、建国記念日が中国は75年、中華民国は113年になることを指摘し、「中国は絶対に台湾の祖国になり得ない」と述べた。これに対し、中国は「対立を激化させようとしている」と強く反発した。
(外報部)