台湾総統府は7日、蔡英文前総統が12日からチェコをはじめとした欧州諸国を訪問すると発表した。蔡氏は5月に総統を退任したばかりで、半年足らずの外遊となる。チェコでのフォーラムで演説が予定されており、台湾民主主義支持への感謝を語るとされている。
頼清徳総統は報道官を通じ、「全力で蔡英文前総統の外遊を支持する」と語った。蔡氏の外遊は安全や招待側への圧力、フェイクニュースなどを警戒してか、チェコ以外の詳細な日程は明らかにされていない。
頼氏と蔡氏は事前に面会し、意見交換をしたという。頼氏は「台湾元首を退任した立場で世界に台湾の声を届けるには最も適した人物だ」との考えを示し、欧州各国との関係がより強固になることを期待した。
蔡氏の訪問に対して、中国からの反発は必至だ。蕭美琴副総統が就任前の3月にチェコなど欧州諸国を訪れた際は、中国大使館の軍関係者らに尾行されたという。
チェコは旧ソ連によって民主化を阻害された歴史があり、現在の台湾と中国の関係性に共通する部分があるためか、中国からの反発を受けても台湾と接近した欧州諸国の先駆け的存在。20年には上院議長、23年には下院議長がそれぞれ訪台し、立法院で演説した。
(外報部)