日本李登輝友の会は25日、第87回台湾セミナーを都内で開いた。同会副会長で台湾情勢に詳しい浅野和生平成国際大学副学長は「頼清徳新政権の発足と日台関係」と題して講演し、「中台関係は2027年までの4年間が勝負」と見通しを語った。
浅野氏は20日に行われた頼総統の就任演説を分析。頼氏が冒頭で「中華民国の憲政体制に基づき、国を前進させる重責を担う」と強調したことは、「“台湾独立主義者”と呼ばれる見方を否定した」と解説した。
中国の習近平国家主席が圧力をかける「台湾併合」は、中国国内で加速する少子高齢化の影響を受けるため、「中国が強気でいられるのは2027年までがピーク」と予想。その期間が頼政権の任期4年間と重なるため、「今期が軍事的緊張を避けるために最も重要な期間」との見方を示した。
このほか浅野氏は1972年の日中国交正常化に至る経緯と、日台関係の変化を解説。日中共同声明第三項の「十分理解し、尊重」するという日本政府の立場を正しく認識するためには、「日台関係の原点ともいうべき72年に立ち返り検証しなければならない」と論じた。その上で、日本は「中国に台湾併合の機会を与えないために、自由で開かれたインド太平洋戦略を強化する必要がある」と語った。
また、台湾新政権で不安視される立法院(国会)の混乱について「多難の船出だが、2期8年続いた陳水扁政権発足時と比べれば混乱は小さく心配はない」と指摘。「台南市長就任時、議会でも同じような混乱があった。そこから首長満足ランキング1位まで登り詰めた経験を持つ頼氏の手腕に期待している」と語った。