【新北・台湾総統選取材班】13日に迫る台湾総統・立法委員(国会議員)選挙を前に、最大野党・国民党の総統候補、侯友宜・新北市長が台北郊外の同市で海外メディア向けの記者会見を行い、「私の任期中は統一を目標とした中国との交渉をしない」と強調した。一方で中国との平和的な対話を再開させると述べた。
侯氏は、現在の民進党政権で中国との関係が悪化している現状では「ハイレベルの両岸交流はできない」と指摘。国民党が政権を奪取した場合、「民間や学者の交流、窓口機関同士の話し合いから始め、政府当局の交渉は最後に行う」と説明した。
国民党の馬英九前総統がドイツメディアの取材で「憲法の規定では中国との統一は可能である」と発言した上で、中国の習近平国家主席を「信頼しなければならない」と語ったことについては、侯氏は「考えが違う」と親中派イメージの払拭(ふっしょく)に努めた。馬氏を巡っては、非与党陣営の総統候補一本化の仲介役を買って出たことで、地元メディアに「中国シンパ」と批判された経緯がある。
会見に同席した副総統候補の趙少康氏も、祖父が中国共産党の迫害を受けて死亡したことを説明するなど、親中派と見られていることに反論。両氏とも「典型的な国民党員ではない」と付け加えた。
侯氏が記者会見で一貫して主張したのは防衛力の強化だった。「台湾の最優先課題は、防衛力を強くすること。中国による武力行使を抑止し、戦争を阻止する」と訴えた。
会見には33カ国から約200人が参加。報道陣からは、防衛力強化と中国との対話再開による融和をどう両立させるかを問う質問が相次いだ。