【台北・台湾総統選取材班】台湾国防部(国防省)は6日、中国が台湾周辺や上空に気球を飛行させていることについて、武力攻撃とは判断できない「グレーゾーン事態」で航空安全を脅かしていると非難した。台湾は総統・立法委員(国会議員)選挙を13日に控えていることから、中国が心理戦を仕掛けていると分析している。
台湾国防部は先月から複数回にわたり、台湾海峡で中国の気球を確認したと発表。4日には台湾本島北西部の空軍基地付近の上空に飛来したと報告した。国防部は6日の声明で、気球の飛行経路からして国際航空の安全に対する「深刻な脅威」だとし、「中国が中国・台湾間の便や国際便の乗客の安全を軽視していることを非難する」とした。
国防部はこれまで、気球が主に気象観測用との認識を示していたが、今回の声明で軍事戦術もあり得るという見解に改めた。台湾の中央通信社は「(総統選前の)敏感な時期に威嚇や嫌がらせをしている」と伝えた。気球の飛来について、中国は言及を避けている。