台湾総統選 中国との距離に温度差 民進党 3期目なるか 選挙イヤー2024 民主主義陣営の危機(4)

2 月 30 日 、 台 北 市 で 討 論 会 に 臨 ん だ 台 湾 総 統 選 候 補 者 。 左 か ら 民 進 党 の 頼 清 徳 副 総 統 、 国 民 党 の 侯 友 宜 ・ 新 北 市 長 、 民 衆 党 の 柯 文 哲 ・ 前 台 北 市 長 ( A F P 時 事 )

「現状を維持し、台湾を守る。両岸(台中)関係を安定させ、インド太平洋の平和を促進する」。台湾総統選が13日に迫る中、先月30日に行われた総統候補のテレビ討論会で、こぶしを交えながら、力強く訴えたのは与党・民進党党首の頼清徳候補(64)。候補者の中では最も対中強硬派で中国が警戒する人物だ。

頼氏は蔡英文政権の「現状維持」路線を引き継ぐと表明している。現在は封印しているが、過去に「台湾独立派」を公言していた。総統選に立候補を表明した後、報道陣などから過去の発言についてたびたび質問を受けたが、「中華民国(台湾)と中華人民共和国の主権は互いに隷属しない」「台湾はすでに『事実上の独立』をしており、台湾が独立を宣言する必要はない」と答えている。

それに対し、台湾語で「蔡英文政権で9カ国との外交関係が減った」と顔をしかめながら民進党政権をテレビ討論会で猛批判したのは、最大野党・国民党の侯友宜・新北市長(66)だ。副総統候補に党内でも親中色が強いとされる趙少康・元立法委員(73)を指名したことで国民党の岩盤層の支持を得ることに成功し、頼氏を追い上げている。

侯氏はあえて台湾語を使用することで、大陸由来の政党で「親中政党」と揶揄(やゆ)されがちな国民党の「台湾化」をアピールした。しかし、若い世代では台湾語を理解しない人も一定数おり、演説内容が直接届かなかった可能性もある。

一方で、「民進党は(中国と)友好的であるべき時も対抗し、国民党は(中国に)対抗すべき時でも友好的であろうとすることが憂慮される」と、両党を淡々と批判したのは、第3党・民衆党候補の柯文哲・前台北市長(64)だ。柯氏は民進・国民の二大政党を支持しない中間層を主な基盤とする。

5日、台北駅前に大きく表示された民進党の 総統・副総統候補の電光掲示板(村松澄恵撮 影)

台湾民主化の象徴ともされる総統直接選が1996年に始まって以来、民進党と国民党は交互に政権を握ってきた。どちらも2期8年を越えたことはなく、頼氏が民進党政権を継続すれば、初の出来事となる。

台湾の大手テレビ局TVBSが今月2日に発表した世論調査結果によると、支持率は頼氏が33%でトップ。続いて、侯氏が30%、柯氏が22%だった。ただ、侯氏が頼氏との差を縮めており、予断を許さない。

台湾メディアの「鏡新聞」が先月27日に発表した年代別の調査によると、民進党の頼氏は選挙権のある各年代層で25%以上の支持を集めている。特に60歳以上の世代では40%を超える支持で優位に立つ。

国民党の侯氏は50~69歳の世代で40%前後の支持を集めるが、20~39歳の若い世代では支持率が10%前後と低い。

民衆党の柯氏の主な支持層は、従来の二大政党制を嫌う若年層の20~39歳。20~24歳では支持率が過半数を超えているが、年齢が上がるにつれて低下し、55歳を超えると10%を割るほどに急落する。

どの候補が総統となっても、外交政策において対日・対米関係に大きな変更はないとみられているが、対中政策では温度差がある。

頼氏は「互いが平等で尊重し合えるのであれば、中国と交流の門は常に開いている」と主張しているが、中国政権が台湾を自国の一部と見なしている現状では、台湾を平等に扱うとは考えにくい。事実上、現在の中国政権への拒絶ととれるだろう。

国民党の侯氏も、「親中」イメージを払拭(ふっしょく)するため、政権を握っても中国の言いなりにはならないとアピールしている。一方で、中国福建省の地方組織「中共福建省委員會」から指示を受けた人物が先月、侯氏が優勢だという偽の世論調査を発表し、物議を醸した。このことから、中国にとって最も都合の良い候補は侯氏だとみられている。

柯氏は「台湾人が長期的に未来を思い描くために、台湾は青(国民党)と緑(民進党)の泥沼のような形から抜け出さなければいけない」と主張。ただ、外交路線については、蔡英文政権を支持している。

柯氏は今回の総統選では支持率から見て「圏外」だ。しかし、総統選と同時に行われる立法委員(国会議員に相当)選に焦点を当てている。全113議席中、1割の議席を得れば、民衆党がキャスチングボートを握ることができるとみている。

立法委員選は次期総統の政権運営を左右する重要な選挙。民進・国民両党が過半数に届かない場合、誰が総統に当選しても、難しい政権運営を余儀なくされるだろう。(台北・村松澄恵)

(終わり)

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