台湾総統選まで約1カ月 民進党・頼氏リード 追う国民党・侯氏 対中政策で大きな隔たり

来年1月13日の台湾総統選まで残り約1カ月に迫り、各候補の動きや情勢に注目が集まっている。与党・民進党の頼清徳(らいせいとく)副総統(64)は世論調査でリードを保っているが、同時に行われる立法委員(国会議員に相当)選挙で過半数を維持できるか不安視されている。最大野党・国民党の侯友宜(こうゆうぎ)・新北市長(66)と第2野党・民衆党の柯文哲(かぶんてつ)・前台北市長(64)は、候補者一本化協議を行ったが失敗し、野党分裂となった。侯氏は親中色を強めることで党内の支持基盤を固め、頼氏を追い上げる一方、柯氏は支持率が下落傾向にある。(村松澄恵)

台湾ネットメディアの美麗島電子報は、各陣営の副総統候補が出揃(そろ)った後に世論調査を実施し、8日にその結果を発表した。それによると、民進党の頼氏と蕭美琴(しょうびきん)・前駐米代表(大使に相当、52)のペアが支持率40・5%、国民党の侯氏と趙少康(ちょうしょうこう)・元立法委員(73)のペアが30・8%、民衆党の柯氏と呉欣盈(ごきんえい)・立法委員(45)のペアは16・3%だった。ただ、同時期に行われた別の世論調査では、民進党と国民党の支持率がほぼ同列との結果もあり、気を抜けない情勢となっている。

民進党の頼氏は対中政策に関し、蔡英文政権の「現状維持」路線の後継者として有権者にアピールしている。ただ、過去に「台湾独立派」を自認していたこともあり、中国が最も警戒する候補となっている。

頼氏は副総統候補に、駐米代表を3年以上務め米国からの信頼が厚い蕭氏を指名した。以前から指摘されていた外交力の弱さを上手(うま)く補う形となり、伸び悩んでいた支持率が上昇した。

来年1月の選挙では総統選だけでなく、同時に行われる立法委員選挙で各党がどれだけ議席を確保できるかも重要になる。昨年の地方選では民進党が大敗し、蔡総統が兼務していた党主席(党首)の引責辞任に追い込まれた。現在、民進党は議席の過半数を占めているものの、今回の選挙でどこまで議席を守り抜けるかも注目すべきポイントとなる。

国民党の侯氏が支持率を上昇させた理由の一つは、副総統候補に党内でも親中色が強いとされる趙氏を指名したことだ。趙氏は国民党から枝分かれした政党「新党」から1994年に台北市長選に出馬した。当選した民進党の陳水扁氏(後の総統)には及ばなかったものの、国民党候補を抑えて得票率2位になるほど人気のあった政治家。最近は言論人として活動していた。侯氏は趙氏の起用で国民党岩盤層の支持を確固たるものにした。

侯氏は政策でも「多くの中国人学生が台湾で就業できるようにする」という親中色の強いものを掲げた。中国政府の統計によると、中国の若者の失業率は20%を超えている。だが、侯氏を支持しない有権者からは、この政策が実現すれば、安い賃金の優秀な若者が流入し、台湾人の仕事の機会を奪うのではないかと心配する声が上がっている。

侯氏と支持率2位を争っていた第3勢力の民衆党党首・柯氏は、引き離され始めている。もともと柯氏はニ大政党制を嫌う若年層に人気があった。若年層からすれば、物心ついた時には民進党が政権を担っており、生活で蓄積された不満は民進党に向かう傾向にあったからだ。政治姿勢を「中道路線」として打ち出した民衆党は、別の政党に投票したいが、台湾人アイデンティティーの強さから、中国寄りの国民党への投票を嫌った人々の受け皿となっていた。

柯氏は先月、野党候補が分裂すると頼氏を利するという分析から、国民党との候補者一本化に一度は合意した。しかし、自身か侯氏のどちらが総統候補になるかで対立し、立候補届け出期間中に合意を破棄。結局、野党はそれぞれ選管に立候補を届け出た。この一連の騒動によって柯氏の政治家としての信頼感に疑問符が付く結果となった。

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