日台韓で世界平和モデルを 元台湾副総統・呂秀蓮氏インタビュー(上)

インタビューfocus

台湾で女性初の副総統を陳水扁政権時代(2000~08年)に務めた呂秀蓮氏がこのほど来日し、世界日報の単独インタビューに応じた。呂氏は、台湾海峡やアジア太平洋地域の平和と安定のために日台韓で「民主アジア連盟」の設立を提唱。来年1月13日に投開票される台湾総統選の見通しなどについても語った。概要は11日付に掲載。一問一答は以下の通り。(聞き手=豊田 剛、村松澄恵、竹澤安李紗)
ろ・しゅうれん 1944年、桃園市生まれ。国民党独裁時代に反乱の容疑で、1993日の獄中生活を送る。総統府国策顧問や桃園県長を歴任。初の政権交代が行われた2000年の総統選で民進党の副総統として当選し、台湾初の女性副総統として2期8年務めた。04年に陳水扁元総統と共に遊説中に狙撃され負傷した。主な著書に『台湾vs中国 東アジアの危機と転機』(創藝社刊)。

――なぜ日台韓の連携が必要なのか。

近隣国の日台韓は民主主義と科学技術力が高い水準で、儒教思想が根にあることが共通している。日台韓は混乱する世界情勢の中では「唇歯輔車(しんしほしゃ)」(運命共同体の意味)の関係だ。

世界地図を開いた時に、世界の各地で欧州連合(EU)のような地域組織があるが、東アジアにはない。まずは平等、善意、相互利益を基本とした民間団体「ウィンウィンウィン日韓台」の設立を目指す。第2段階として政府レベルで「民主アジア連盟」、第3段階で米国やオーストラリア、東南アジアなどの民主主義国家と共に「民主太平洋連盟」の設立を目標としたい。

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――日本との関係において、台湾と韓国で温度差がある。

私は韓国の国会などで何度か講演をしてきた。そこで、「日韓はお互いに過去を許して、前に進むべきだ」と呼び掛けた。

韓国人からすれば、自国同様に日本統治された台湾が親日であるのが不思議なようだ。尋ねられると、私は決まって「人は過去に囚(とら)われずに未来を見なければならない」と答える。また、上の世代の間違いをなぜ今の世代が担わないといけないのか。

――イスラム組織ハマスとイスラエルの争いや、ロシアとウクライナの戦争は東アジアにどのような影響があるか。

米国の注意力が分散され、東アジアで覇権を強めようとしている中国を結果的に利することになるのではないか。

今までは、ハードパワーの時代だった。経済や武器の力で相手を威嚇し、意に沿なければ消滅させるというものだった。大抵の戦争は、少数の権力者によって武力行使の有無が決定され、犠牲になるのは無辜(むこ)の人々だ。

パレスチナとイスラエルの争いは一夜にして起きた。厳しい安全保障環境にある東アジアの人々は特に気を引き締めるべきだ。

3日、パレスチナ自治区ガザとの境界に向かうイスラエル軍 の砲兵部隊 撮影場所非公開(EPA時事)

戦争を防ぎたければ「投資」する必要がある。病気になる前に、保険に入るのと同じ理屈だ。私が取り組んでいる民間組織が「投資」に当たる。

この投資は一つの国だけが行うものではなく、周辺の地域全体が一緒になって行うべきだ。誰も損をしない形で、経済、文化、科学のそれぞれの専門分野で交流するのが望ましい。

私の理念で重要視するのはソフトパワーだ。過去に因縁があった日台韓が、民間から政府まで幅広いレベルで団結できれば、アジア文明が世界を引っ張っていくだろう。東アジアがソフトパワーの力で台頭することによって、世界の模範となり、各地で起きている戦争が速やかに収束することを願っている。

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