【NEWSクローズ・アップ】台湾総統選まで半年 第3勢力台頭、波乱の展開に 与党候補 独立志向を封印  

国民党低迷 財界大物出馬か

写真左:記者会見する柯文哲民衆党主席(党首)=6月8日、東京都千代田区 写真右:台湾の頼清徳・副総統=4月12日、台北(AFP時事)
来年1月13日に行われる台湾総統選が半年後に迫った。与党・民進党と最大野党・国民党の従来の対立構図に加え、第3勢力・民衆党が「台風の目」となる展開だ。さらに国民党の公認を逃した経済界の大物が出馬を検討するなど波乱含みの情勢となっている。(村松 澄恵)

ネットメディア「震傳媒」が今月1~2日に行った世論調査によると、民進党の頼清徳・副総統が支持率29・9%でトップを維持したが、急速に支持を広げる第2野党・民衆党の柯文哲・前台北市長が29・8%で猛追。国民党の侯友宜・新北市長は16%にとどまった。

台湾メディア「美麗島電子報」が3日に発表した6月の調査結果では、柯氏の支持率が最も高いのは20~39歳だった。民衆党の台頭は、中国に融和的な国民党を敬遠する一方、民進党の政権運営に不満を募らせる人々から支持を得ていることが背景にありそうだ。

柯氏を支持する専業主婦の劉さん(33)は本紙の取材に、民進党政権が2019年に制定した同性婚の法律に不満があると語った。学校で行われている同性愛を理解するための授業を批判し、「社会だけでなく、アイデンティティーが定まっていない子供たちまでも混乱させている」と語った。

侯氏の支持率の低迷は、新北市の幼稚園で職員が園児に体罰を加え、睡眠薬を飲ませていた事件が影響している。保護者が5月に市当局に通報したにもかかわらず、対応が後手に回ったことで批判が広がった。国民党の鄭麗文・立法委員(国会議員に相当)は6日、「候氏は準備できていない」と述べ、候補者を代えるなら急ぐべきとの見解を示した。

そうした中、国民党の公認を逃した鴻海精密工業の創業者、郭台銘氏が出馬に向けた動きを見せている。ネットメディア「ニュートーク新聞」は8日、国民党候補を郭氏に代えた場合、支持率が郭氏28・77%、頼氏28・49%、柯氏24・07%と、郭氏がトップとなるという世論調査結果を公表した。

侯氏の支持率が伸び悩む中、台湾南部の高雄市で8日、郭氏の後援会が設立された。郭氏は支持者との集会を14、15、21日に予定しており、動きが活発化している。

総統選の主要争点は、やはり中台関係だ。台湾統一を「歴史的任務」とする中国の習近平政権の圧力が強まっている。

民進党の頼氏は、かつては「実践的な台湾独立の従事者」と自称するほどの強硬派だったが、大多数の有権者が「現状維持」を望んでいる状況を踏まえ、独立志向を封印。直接選挙で長年、総統を選んできた台湾と独裁体制の中国は明らかに異なるとし、「台湾には既に独立の問題はなくなった」とする見解を示している。

頼氏はまた、中国が掲げる「一つの中国」原則を受け入れず、日米など民主主義国との連携強化による安定と発展を重視する蔡英文政権の方針を継承する意向だ。

これに対し、国民党の侯氏は明確に外交政策を示してはいないが、当選後に「中国との関係が落ち着いたら兵役を1年から4カ月に戻す」としていることから、融和路線を通じた安全保障や経済の改善を訴えるとみられる。

民衆党の柯氏は、日米と良好な関係を築く一方で、中国とも交流を行うべきだとし、米中両大国への過度な傾斜には異議を唱えている。

spot_img
Google Translate »