「台湾を守れなくなった日米同盟」―エルドリッヂ研究所代表 ロバート・D・エルドリッヂ氏

有事特化の新指針必要

安倍晋三元首相が生前、「台湾有事は日本有事」と言ったのは事実だ。3月、台湾を訪れたが、日台関係は米台関係よりもはるかに深いことを実感した。それにもかかわらず、台湾にどう向き合うかは米国次第でいいのか。台湾は有事になれば日本が助けに来ると思っているが、今の日本政府はこれに応えられない。

これまで中国が台湾に武力行使しなかったのは、意図があったが能力がなかったためだ。それが2015年ごろ、台湾を奪えるだけの能力を付けた。今では人工衛星を破壊する能力も持っている。

台湾を奪うのが合理的ではないと主張する人がいるが、これはもはや中国の意思決定だ。台湾を取ることによって第一列島線の中心にある台湾に人民解放軍を展開できる。そうすると西太平洋が中国の防衛ラインとなる。グアムとハワイも危なくなる。結果、日本はこの地域で自由に貿易ができなくなる。ロシアと良い関係があれば、ロシア経由で貿易できるが、今はその関係性もない。

中国は米軍と衝突を避ける形で米軍をアジアから追い出す。太平洋での米国のプレゼンスが著しく低下する結果、日本は主権国家ではなくなり、中国の自治区になるという最悪のシナリオも想定される。

中国による侵攻は時間の問題だ。米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官(当時)が指摘したように、中国が2027年、もしくは2030年までに台湾を侵攻するという考えには根拠はある。ただ、それよりも早くなると思っている。統治能力のないバイデン政権のうちに行動する可能性は大いにあり得る。敵が弱いうちに行動するというのは当然の論理だ。

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