台湾へのサイバー攻撃多発 米下院議長訪問時

コンビニや駅モニター乗っ取り 中国 侵攻時の作戦想定か

台湾を訪問したペロシ米下院議長(左から2番目)と蔡英文総統(右から飛番目)=8月3日(UPI)

ナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問した今月2日と3日を中心に、台湾では総督府や国防部などのウェブサイトが一時閲覧不能になったほか、駅構内やコンビニエンスストア店内の電子掲示板にペロシ氏の訪台を非難する言葉が映し出されるなど、中国によるものとみられるサイバー攻撃が多発した。台湾侵攻の際に実行される可能性が高い「ハイブリット戦」を想定して行われたとの見方が出ている。(村松澄恵)

「戦争屋のペロシ、台湾から出ていけ」――。

台湾各地のセブンイレブンでは3日、店内に設置された電子掲示板にこのような文字が大きく映し出され、店員や買い物客を驚かせた。台湾鉄道や地方行政の電子掲示板にも、中国本土で使われる簡体字でペロシ氏を貶(おとし)める言葉とともに、「偉大な中国はいずれ統一される」などと表示された。

駅やコンビニなど身近な場所の電子機器が乗っ取られ、中国のプロパガンダが映し出されたことは、台湾住民に大きな衝撃を与えた。ソーシャルメディア(SNS)上では「台湾のサイバーセキュリティーは大丈夫なのか」といった不安の声が広がった。

一連のサイバー攻撃に対し、台湾政府でデジタル政策を統括する唐鳳(オードリー・タン)氏は、メディアの取材に「心理戦が行われている。冷静に過ごせば、彼らは失敗したことになる」と述べ、住民に慌てないよう求めた。3日の会見では、台湾鉄道の電子掲示板がハッキングされたのは、ソフトウエアに中国製のものが使用されていたことが原因だと発表した。

行政院(内閣に相当)は7日、中国製情報通信機器の使用禁止対象を拡大する方針を明らかにした。これにより、公的機関のすべての敷地内で中国製機器の使用ができなくなる。

蘇貞昌行政院長は同日、高雄市内で行われたイベントで、敵はフェイクニュースを使って台湾の団結を崩そうとしていると指摘し、「民官一体となって、共に外敵に抵抗しよう」と呼び掛けた。

サイバー攻撃を行ったと声明を出したのはハッカー集団「APT27」。同集団は4日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で、「台湾は昔から中国の一部である」と主張した上で、「台湾政府とインフラへの攻撃を行う」と宣言した。

同集団は7日にも動画を再度公開し、「20万台を超える台湾の設備をネットを介してコントロールできる」とした上で、台湾政府に対し「今後も現状への挑戦を続けるならば帰ってくる」と警告した。

今回のサイバー攻撃とAPT27が直接関係があるかは明らかになっていない。APT27は「どの政府にも属さない」と主張しているが、中国当局から支援を受けていると言われている。

現代の戦争は複雑化しており、ロシアがウクライナを侵攻する前も、サイバー攻撃やフェイクニュース拡散などで世論を分断する「認知戦」が行われた。台湾の大手テレビ局TVBSは、今回のサイバー攻撃について、中国が台湾侵攻前にどれだけ効果があるかを確かめる意味合いがあったのではないかと複数の専門家が指摘していると報じた。

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