
【台北、北京時事】台湾の蔡英文総統は15日、訪台している米上院のロバート・メネンデス外交委員長(民主)やリンゼー・グラム議員(共和)ら米上下両院の超党派議員団6人と総統府で会談した。蔡氏は、中国の脅威を念頭にバイデン米大統領が打ち出したインド太平洋戦略において「積極的な役割を果たしたい」と表明。台湾統一を目指す中国からの圧力が強まる中、台米間の連携を確認した。
訪問団は予算や外交など各委員会にまたがる議員6人で構成。蔡氏は会談で「上下両院、党派を超えた米議会の台湾への支持に感謝する」と歓迎した。また、ロシアのウクライナ侵攻に触れ、権威主義国に対抗するため「民主主義国が団結を強化する必要を示している」と述べた。
これに対し、メネンデス氏は「訪問により台湾への確固たる支持を示せたことをうれしく思う」と応じた。訪台に先立ち中国側から書簡で不満を伝えられたが、断行したことも明らかにした。グラム氏は「日増しに強まる中国の台湾への挑発に対し、(米国側が)積極的に対応できると信じている」と語った。
中国国防省の呉謙報道官は15日、談話を発表し、米議員団の訪台に「断固反対だ」と強く反発した。米側へ厳正に申し入れたとしている。呉氏は「中国軍は戦闘を準備し、あらゆる必要な措置を取って外部勢力の干渉や『台湾独立』の企てを断固打ち砕き、国家の主権や領土の一体性を断固守る」とけん制した。
中国軍東部戦区は15日の報道官談話で、台湾周辺海空域で同日、駆逐艦や爆撃機などによる「戦闘準備パトロール」や突撃訓練を実施したと発表。「米国が台湾問題で誤ったシグナルを絶えず発していることに向けた行動だ」と対象を明示し、「火遊びする者は必ず焼け死ぬ」と警告した。