韓国紙セゲイルボ「社説」

新年に入っても李在明政権の外交安保ラインの対北朝鮮路線の混乱が続いている。鄭東泳統一部(部は省に相当)長官は14日、金与正朝鮮労働党副部長が「韓国の無人機侵犯」を主張して謝罪を要求したことに対し、「調査結果が出次第、それに対する措置を取ることになるだろう」と表明した。事実上、政府レベルの謝罪表明の可能性を示唆したものだ。南北間の緊張緩和を願う意図は十分理解できるが、そうだとしても真相調査の結果が出てもいない時に政府次元の謝罪を口にするのは性急だ。
鄭長官が「2020年9月、西海(黄海)で公務員が銃撃された時、北朝鮮の最高指導者が『非常に申し訳なく思う』と謝罪・遺憾を表明したように」と言って李在明大統領の遺憾表明まで提示したことは、さらに納得し難い。当時、北朝鮮の謝罪は、北朝鮮軍が西海で公務員を銃殺した後、遺体を燃やした事実が判明し、国民的な公憤が大きくなったことによるものだ。北朝鮮に侵入した民間推定の無人機とは次元が違う問題だ。ただでさえ北侵入無人機を巡る韓国政府の低姿勢対応に論議が少なくない状況で、早急な謝罪の立場表明は、過度な対北低姿勢という否定的な世論だけを助長する恐れがある。このような姿勢は、南北関係全般において北朝鮮の攻勢的な構図を固定化する懸念もある。
鄭長官の発言について魏聖洛国家安保室長は「(無人機は)誰がどのようにしたのか把握し、その後に対処を考えるべきだ」と強調した。謝罪を前提に事を進めてはならないということを明確にしたものだ。現政権となって南北関係の改善を重視する「自主派」と、韓米同盟基盤の現実論に基づいた「同盟派」の間の意見の違いは今に始まったことではないが、北朝鮮の無人機謝罪要求を巡っても意見の相違が表出したことは、望ましくない。調整されない対北メッセージは、北朝鮮に誤ったシグナルを与え、韓国政府の外交・安保政策に対する対外信頼を傷つける。ややもすると国民の生命と安全を脅かす恐れもある。
韓米共同説明資料(ジョイント・ファクトシート)履行方策と対北政策全般を論議するための両国協議が外交部(外務省に相当)と統一部の間の神経戦で“中後半端”になったのは記憶に新しい。鄭長官と魏室長は「南北2国家論」を巡っても異なる立場を打ち出し、国民を混乱させた。政府はこのような対北政策の足並みの乱れをいつまで放置するのか。安保事案は意見の相違があっても内部で緻密に討論し、対外的に一致した声を出さなければならない。慎重で一貫した政府の対北政策を求めたい。
(1月16日付)
「セゲイルボ」






