トップ国際韓国【NEWSクローズ・アップ】揺らぐ徴用工解決策 韓国 強硬左派が第三者弁済に圧力 「高市リスク」にくすぶる反日

【NEWSクローズ・アップ】揺らぐ徴用工解決策 韓国 強硬左派が第三者弁済に圧力 「高市リスク」にくすぶる反日

ソウル市内にある「日帝強制動員被害者支援財団」の事務所(4日撮影)

 元徴用工訴訟で勝訴した韓国人原告への賠償金支払いを、韓国政府傘下の財団が日本企業に代わって行う第三者弁済に左翼理念が強い韓国の与党議員や市民団体が噛(か)みつき、解決に向けた枠組みが揺らぎ始めている。日韓関係重視をうたう李在明(イ・ジェミョン)政権だが、足元の“反乱”を抑えきれるだろうか。(ソウル上田勇実)

 先月、日韓国交正常化60周年を記念してソウル市内で行われた学術会議の場に、第三者弁済を行ってきた「日帝強制動員被害者支援財団」の理事長を今年8月に事実上辞任した沈揆先(シム・ギュソン)氏が姿を現した。会議に参加していたある関係者によると、沈氏は「顔が憔悴(しょうすい)し切っていた」といい、理由を尋ねると「内部告発があり、その件が与党議員に持ち込まれて問題が大きくなっている」と答えたという。

 内部告発とは、第三者弁済を拒否する原告への支払い金を裁判所に供託する過程で、複数箇所で行われた書類への捺印に実印を使わず、認め印で済ませたことを「違法行為」として財団職員が問題視したもの。財団を管轄する行政安全省による内部調査が実施され、沈氏への聞き取りから沈氏自身に落ち度がないと同省も判断したというが、告発した職員がこの件を与党「共に民主党」の李仁栄(イ・イニョン)議員室に持ち込んだことで問題が大きくなった。

 李議員は1980年代に親北朝鮮路線を主張した学生運動の元リーダー。国会議員になってからも「親日反民族行為者財産の国家帰属」を求める関連法案を代表発議(昨年12月)するなど、代表的な反日議員として知られる。

 李議員は告発に基づき10月の国政監査で「監査院による監査で違法が認められたら懲戒を、また捜査を依頼して刑事的処罰もすべき」だと主張し、その前日には自身のSNSに「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が推進した第三者弁済案の進行過程を隈(くま)なく調査する必要がある」と投稿している。これに加勢するように強硬左翼の市民団体も相次いで「第三者弁済反対」の声明を発表した。

 こうした第三者弁済への圧力にある日韓関係筋は「最終的には第三者弁済を覆すのが狙い。徴用工問題が再び揺らぐのではないか心配だ」と漏らす。

 すでに第三者弁済の継続を公言している李政権としても、与党議員や市民団体の動きに神経を尖(とが)らせざるを得ない。

 関係者によると、対日政策の指揮を執る魏聖洛(ウィ・ソンナク)・国家安保室長は危機感を抱いており、まずは李仁栄議員室から説得するつもりだという。第三者弁済が揺らげば日韓関係への悪影響は必至で、慰安婦問題の日韓政府間合意を一方的に反故(ほご)にした文在寅(ムン・ジェイン)元政権時の悪夢がよみがえりかねない。

 ただ、李政権の内部はいわゆる親北・親中の「自主派」と魏氏のような親米・親日の「同盟派」が主導権争いをしており、すでに人事面では「自主派」が優勢で、発言権も大きくなっている。外交で点を稼ぐ李政権が第三者弁済を覆すとは考えにくいが、突発的な事態が発生する可能性はある。

 高市早苗首相が自民党総裁選で述べた、来年2月の「竹島の日」行事への閣僚クラス派遣はその一例だ。台湾有事に言及して中国を刺激したような「高市リスク」を、「韓国側がどれだけマネージメントできるか不透明」(日韓関係筋)だ。

 李大統領は先週、外国メディア向けの会見で日韓関係について「私から借りたカネを着服した同業者と全く関係を断絶することができないのと同様に、韓日も協力すべきは協力する」と述べた。胸にしまい込んでいる日本への不満をにじませたとも言える。

 先日、水原地裁は第三者弁済の壁の一つとなってきた「供託金不受理」の司法判断を覆し、不受理を取り消すよう言い渡した。未完だった第三者弁済が再び履行される道が開けた形だが、左翼理念派の圧力が続けば、李大統領を反日に誘導しないとは言い切れない。

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