トップ国際韓国「選出された独裁者」に警戒感も 韓国大統領選

「選出された独裁者」に警戒感も 韓国大統領選

3日夜、ソウル市内の国会で、韓国大統領選に立候補している革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表の優勢が伝えられ、喜ぶ同党幹部ら(時事)
3日夜、ソウル市内の国会で、韓国大統領選に立候補している革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表の優勢が伝えられ、喜ぶ同党幹部ら(時事)

革新系最大野党・共に民主党の李在明候補が次期大統領に当選する見通しとなったが、これまで李氏は強権的な政治手法や飽くなき権力欲が問題視され、同党出身者からも「怪物独裁」(李洛淵元首相)と評される人物だ。

有権者の選択という点では民主主義のルールに基づいた「選出された指導者」だが、識者の間では近年左傾化が著しい韓国社会が生み出した「選出された独裁者」(韓国大手紙)への警戒感も広がっている。

同党は李氏が被告の刑事訴訟を当選直後に中止させる法改正まで検討中だという。まるで李氏擁護が最優先される世の中の到来を告げているかのようだ。韓国民主主義が後退局面に入ることを憂慮する声すらある。

今回の大統領選は尹錫悦大統領の弾劾・罷免に伴い実施されたもので、特殊な政治情勢が李氏に味方した感は否めない。

李氏は、戒厳令に基づいた軍人たちによる国会進入などに衝撃を受けた国民に対し、保守系与党・国民の力の金文洙候補が「内乱」勢力だと印象付け、その克服こそが選挙最大の意義だと訴え続けた。

3年前の前回大統領選で、当選した尹氏に僅差で敗れた李氏は、最大野党の実権を握り、国会多数派となった同党を通じて政府高官の弾劾や予算削減などで尹氏の国政運営を阻んだ。そして尹氏弾劾の機会をうかがい、「棚からぼた餅」式に降って湧いた戒厳令を逆手に取り、一挙に尹氏を弾劾に追い込み、自身の大統領当選に道筋を付けた。

尹氏がお膳立てし、李氏がそれに便乗したと言っても過言ではなかろう。

一方の金氏は、尹氏弾劾の過程で急浮上したいわばにわか候補。数多くの不正疑惑にまみれ、一部有罪判決まで受けた李氏とは対照的に、実直でクリーンなイメージをアピールしたが、尹氏の「負の遺産」を最後まで払拭できなかった。

李氏が新大統領になれば、日本をはじめ周辺国は外交・安保でどのような舵取りをするのか注視することになる。

日米韓の連携や米韓同盟の重視を口にするが、世論に迎合する形でいつ反日に旋回するか予断を許さない。北朝鮮、中国、ロシアに融和的な政策を取る場合、日本や米国との関係がぎくしゃくするのは必至だ。(ソウル上田勇実)

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