
【ソウル上田勇実】韓国第21代大統領選挙が3日実施され、韓国公共放送のKBSは午後11時半(日本時間同)過ぎに革新系野党・共に民主党の李在明候補(60)が「当選確実」と報じた。午後8時発表の地上波3社合同の出口調査では、李氏が得票率51・7%で過半数を得る勢い。保守系与党・国民の力の金文洙候補(73)は39・3%で2位、保守系野党・改革新党の李俊錫候補(40)は7・7%で3位となっている。韓国は3年ぶりに革新政権に交代する見通しとなった。投票率(暫定値)は79・4%。
李氏は革新の地盤である全羅道(南西部)で8割前後の圧倒的得票率になる見通しの上、もともと保守の牙城だった南東部の釜山・慶尚南道でも4割以上を獲得する可能性があり、「敵地攻略」で成果を挙げた。
世代別では20歳以下から50代までの各世代で李氏の得票率が上回った。金氏優勢は60代と70代以上のみだった。
今回の選挙は、昨年12月の尹錫悦大統領による「非常戒厳」宣言に端を発した尹氏の弾劾・罷免に伴い急きょ実施されたもの。李氏と金氏の2人を軸にした事実上の保革対決となった。
選挙期間中、李氏は戒厳令に困惑した浮動層などを念頭に、その審判を訴え、尹氏と与党陣営を「内乱勢力」と批判。李氏は党の圧倒的支持を得て候補となり、各種世論調査でも終始トップを維持した。
一方、金氏は李氏が不正疑惑を巡る各種裁判を抱え、「刑務所に行くべき候補」と指摘。自分が不利にならないための関連法を「防弾法」と批判した。だが、与党候補一本化が迷走し、金氏への支持結集が遅れた側面もある。
各候補の討論会などでは、低迷する国内経済の立て直しをはじめ政策に関する議論は深まらず、相手候補への非難合戦が目立った。