韓国紙セゲイルボ「社説」

共に民主党の李在明大統領候補は政権に就く場合、政治報復をしないとの約束を行動で実践しなければならない。李候補は昨日の記者懇談会で「権力を乱用した政治報復の害悪を誰よりもよく知っている私が、分裂の政治を終わらせる適任者ではないか」として、「内乱勢力の罪は断固として罰するが、特定人を狙った政治報復は断じてない」と語った。歓迎すべき約束だ。その道こそ、李候補が表明したように「互いを嫌って除去しようとする政治を終わらせ、共存と疎通の文化を蘇(よみがえ)らせる民主主義復元の近道」だ。
李候補はこれまで政治報復をしないという意思を数回明らかにしたが、大統領選挙まで10日もない時点で支持率トップが事実上、国民の前で公言したという点でその重さが違う。過去の政権交代後、政治報復論議で国論が分裂し、国政運営に悪影響を与えた事例は一度や二度ではない。近い例では文在寅政権のいわゆる「積弊清算」や、尹錫悦政権の前政権の高官や政治的な競争者に対する捜査や監査もその延長線にあるとみなければならない。
没後、陣営を問わず統合のリーダーとして再評価される金大中(DJ)元大統領から学ばなければならない。DJは朴正煕・全斗煥軍事政権で命の脅威まで受ける政治的な逆境があった。それでも政権に就いた後は、全斗煥・盧泰愚赦免を決断し、朴正煕記念館を推進する統合の歩みで経済危機も克服した。
李候補がもし政権に就くなら、特定人だけでなく特定組織、特定勢力に対する報復も慎んでもらいたい。民主党の凄まじい脅しに司法府が動揺している。12.3非常戒厳事態に関わった軍、李候補と悪縁の検察、文在寅政権を責め立てた監査院、政治的中立の論議がある国民権益委・放送通信委なども超緊張状態だ。報復の悪循環を断ち切ることができず、占領軍のように振る舞えば、民心離反の逆風は火を見るよりも明らかだ。
李候補は記者懇談会で「新政府は(選挙翌日の)6月4日から難破船の舵(かじ)取りをしなければならない」として、「私が国民の選択を受けることになれば、一番最初に大統領が指揮する非常経済対応TF(タスクフォース)を構成する」とも述べた。次期リーダーシップは一にも、二にも、三にも経済と民生だ。大統領候補は誰でも当落に関係なく、「不況と戦う」という一念で経済と民生回復に総力を傾けなければならない。李候補が昨日明らかにした公職者国民推薦制、議題別公論化委員会などはポピュリズム的な要素があり、政権に就けば副作用を警戒して肯定的な効果を最大化する方向で推進されることを望む。
(5月26日付)
「セゲイルボ」