韓国紙セゲイルボ「社説」

21代大統領候補たちが初めてTV討論(経済分野)を行ったが、経済と民生に対する真剣な政策競争よりは政争と神経戦だけを繰り返す残念な姿を晒(さら)した。共に民主党の李在明、国民の力の金文洙、改革新党の李俊錫、民主労働党の権英国の各候補(記号順)は18日、低成長の克服と民生経済の活性化策、トランプ時代の通商戦略、国家競争力の強化策をテーマに進められた討論で、総論レベルの公約と立場を示しただけで、国民の痒(かゆ)いところをすっきりと掻(か)いてくれるような解決策の提示には失敗した。
かえって内乱、韓米同盟、親中、北朝鮮の核、北への送金など、経済とは直接関係のない質問・応答が乱れ飛び、小学生の口げんかより劣るという評価も出ている。権候補が最初の質問から「尹錫悦氏が内乱の首魁(しゅかい)だという事実は認めるか」と追及すると、金候補は「内乱であることは現在裁判中」と反論した。金候補が対北送金事件について、前京畿道副知事が懲役刑の宣告を受けたことに対し「(当時の李在明)知事が知らない対北送金が可能なのか」と攻撃すると、李在明候補は「側近たちが2度も政治資金を不法募金したのに、金候補はなぜ知らなかったのか」と言い返した。金・権候補の内乱舌戦に「これは経済討論ではないか」と反問した李俊錫候補も、李在明候補に「あまりにも親中国的ではないか」と問いただすことは同じだった。
1997年の最初のTV討論当時、視聴率は歴代最高の55.7%に達した。歴代級の非好感候補たちが登場した今回のTV討論は地上波3社、総合編成チャネル3社をすべて合わせて19.6%(視聴率調査会社ニールセンコリア)にすぎない。歴代視聴率2位を記録した前回の大統領選の最初のTV討論(地上波3社基準39%)の半分のレベルだ。
有権者の確証偏向を強める傾向があるというTV討論が、有権者の選択に与える影響がだんだん制限的になっているという分析も出ている。それでもTV討論は一般国民が候補者の政見に接近できる主要な通路だ。尹前大統領の罷免によって実施される今回の大統領選は、早期登板した各候補の政策把握が容易でないという点からもTV討論は有用な公論の場だ。虚偽・誇張情報があふれるユーチューブに比べて候補の政策と能力、品性を直接比較できる検証の場でもある。23日の第2回(社会分野)、27日の第3回(政治分野)TV討論では、4人の候補が具体的で現実性のある政策とビジョンの競争を通じて経済・民生・統合志向の新しいリーダーシップを選択しようとする有権者の判断を受けてほしい。
(5月20日付)
「セゲイルボ」