トップ国際韓国“有罪”李氏支持?「問われる民度」韓国大統領選

“有罪”李氏支持?「問われる民度」韓国大統領選

勝機探る「反李」与党系候補

社会左傾化を憂える声も

李俊錫氏(EPA時事)韓悳洙氏(時事)李在明氏(EPA時事)

来月3日投開票の韓国大統領選の行方が混沌(こんとん)としてきた。当初、圧倒的優勢とみられていた革新系最大野党・共に民主党候補の李在明・前代表が、自身が抱えていた公職選挙法違反容疑の裁判で大法院(最高裁)から「有罪」趣旨の差し戻しを言い渡され、これまでの選挙戦略が「暗礁に乗り上げた」(韓国メディア)ためだ。「反李」で候補一本化を探る与党陣営は勝機を見いだせるだろうか。(ソウル上田勇実)

「(差し戻しは)政治標的判決だ。以前は大統領選に圧勝すると考えていたが、今後は司法リスクを抱えながら臨まざるを得ない」

弁護士で共に民主党で李氏の公約作成を担当する田収米・東北アジア平和協力特別委員会副委員長はこう述べ、大法院の判断を批判しながら李氏の圧勝シナリオが崩れたことを認めた。

判決直後の議員総会では「候補交代」の話は出ず、最後まで李氏一本で選挙に臨むことが確認されたが、一部では差し戻しを受けてソウル高裁の審理が速く進み、確定すれば出馬自体ができなくなる量刑が言い渡され、さらにダメージを被るのではないかとする見方も浮上している。

李氏は現在、この裁判以外にも偽証教唆、対北朝鮮違法送金、法人カード流用など「12の容疑、五つの裁判」の被疑者。市長当選の前後から「暴力団や革新系大学生組織などとの密接なつながりが取り沙汰され、数人の側近が不可解な自殺に追い込まれた」(元政府系シンクタンクのトップ)いわく付きの人物だ。市長・知事時代の行政手腕が高く評価される一方で、「大統領になってはならない危険人物」という警戒論が付きまとうのも事実だ。

それでも李氏人気が衰えないのはなぜなのか。韓国の理念対立問題に詳しいある専門家は「李氏という人物自体にも問題があるが、それを支持する韓国社会の左傾化がもっと問題」と指摘する。

数十年にわたり韓国社会に親北勢力を育てる工作を仕掛けてきた北朝鮮とそれに呼応する国内親北派の宣伝・扇動、「親中朝・反日米」路線の全国教職員労働組合(全教組)による学校での偏向教育、革新系労組が影響力を行使する大手メディアの反保守報道などが今日の左傾化社会を築き上げた。すでに党を誰も自分に逆らえない体制につくり上げた李氏は、まるで「左傾化社会という牙城に君臨する独裁者」(前出の専門家)のようだ。

その意味で今回の大統領選は「中間層を中心に韓国国民の民度が問われる選挙」(李熙天・元韓国国家情報大学院教授)と言える。

大法院の差し戻しは、「反李」で連帯を模索する与党・国民の力を勢いづかせている。3日、同党の候補に選出された金文洙・前雇用労働相は、「自分が大統領になるのが問題なのではなく、李在明氏が当選して自由民主主義が揺さぶられることを防ぐための候補一本化を最優先に考えている」(高永宙・韓国自由民主党代表)とされる。一本化先は2日に無所属で出馬宣言した韓悳洙・前首相だ。

韓氏は就任2年目に改憲を完了させ、3年目に大統領選と総選挙を同時に実施し、自らは退任するという「私心なき出馬」(前与党議員)に踏み切った。「政界が政争に明け暮れ、司法では報復を恐れ政治的判決が横行する今の韓国に安定をもたらすという使命感だけで出馬した」(韓氏の友人)という印象が広がった場合、支持拡大につながる可能性はある。

ただ、与党候補が劣勢を覆して李氏に勝つには、20代30代の男性から支持される改革新党の李俊錫議員との一本化が欠かせないとみられる。李俊錫氏は先月30日、報道機関主催の討論会で「反李」の旗幟(きし)を鮮明にしつつ、与党候補との一本化をきっぱり否定した。だが、最後まで自身の支持率が低迷した場合、与党が勝機を探る「反李」連帯に加わり、劇的に一本化に応じる道は残されている。

世論調査機関の韓国ギャラップは6日、次期大統領選で仮に李在明氏が韓氏と一騎打ちとなった場合の支持率を「51%対41%」と明らかにした。依然、李在明氏優勢だが、韓氏が金氏や李俊錫氏との一本化をどう果たすかによっては、大接戦にもつれ込む可能性も出てきた。

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