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朝鮮通信使船【韓国紙】

韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

『カムジャ』(ジャガイモのこと)は作家の金東仁氏が1925年に発表した韓国現代文学の代表的な短編小説だ。ポンニョ(女)とワンソバン(男)の密会を媒介する小説の中のカムジャは実はコグマ(サツマイモのこと)だ。

コグマは朝鮮後期の韓半島に入ってきて、飢饉(ききん)がひどい時に穀類の代わりに食べることができる救荒作物として多くの命を救った。このコグマの種子を日本から初めて持ち込んだのが1763~64朝鮮通信使の正使として訪日した趙曮だ。

コグマという名前も彼の訪日日誌格の『海槎日記』に書かれた「古貴為麻」に由来する。日本の対馬地方でコグマを指す方言「ココイモ」を漢字音に置き換えたものだ。

韓日国交正常化60年を迎えて朝鮮通信使が乗った船が再現され、趙曮の航海ルートである釜山―日本・大阪間の航路を航海するという。28日に釜山港を出発して大阪・関西万国博覧会の韓国のナショナルデーである5月13日には、近隣の船着き場で入港記念行事が催される。

航海の前後にはソウル、釜山、東京などで朝鮮通信使の関連行事が開催される。昨日はソウル鍾路区の慶熙宮で三使(正使・副使・従事官)任命式が再現された。正使は2001年、東京・新大久保駅で線路に落ちた日本人を救おうとして27歳の若さで亡くなった義人・李秀賢氏の母、辛潤賛さんが務めた。

文禄・慶長の役(壬辰倭乱)の後、計12回あった朝鮮通信使の訪日のうち、釜山―大阪間の航海は第11回に当たる趙曮一行が最後だった。

一行は漢陽(ソウル)―釜山(陸路)、釜山―大阪(海路)、大阪―江戸(陸路)区間を進むのに11カ月間かかった。そのうち訪日期間8カ月中、5カ月が海路移動だ。交隣のための往復4500㌔の「苦難の行軍」だった。

朝鮮通信使は今日、韓日友好と文物交流の象徴だ。朝鮮通信使の記録物は韓日合意によって2017年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記録遺産に登録されたりもした。

通信使が往来した時期には、両国間に侵略と戦争がないという史実とわれわれの食卓の上のコグマ(サツマイモ)は交流の重要性を悟らせてくれる。約260年ぶりに改めて力強く帆をあげる「友好の船」が信頼(信)を交わす(通)という「通信」の意味をかみしめながら、無事、航海することを願う。

(4月25日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

「セゲイルボ」

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