韓国紙セゲイルボ「社説」
憲法裁判所が24日、韓悳洙首相に対する国会の弾劾訴追を棄却した。韓首相は87日ぶりに大統領権限代行に復帰した。これで共に民主党（以下、民主党）が主導した尹錫悦政権の公職者弾劾訴追は、今まで憲法裁で決定が出た９件すべて認容されなかった。政略的な弾劾でなければ「９対０」という結果が出得るか。韓首相だけ見ても、裁判官８人中５人が棄却、２人は却下の意見を出した。認容は１人にすぎなかった。民主党は韓首相が尹大統領の非常戒厳宣言と内乱行為に同調したと主張したが、憲法裁は受け入れなかった。棄却意見を出した裁判官５人のうち４人は、韓首相が国会選出の裁判官候補者３人の任命を保留したことが憲法と法律違反には該当するが、罷免を正当化する理由ではないとみた。無理な弾劾訴追だったということだ。
韓首相の弾劾訴追で民主党は尹大統領弾劾の機運を高めたかもしれないが、リーダーシップの空白が大きくなって国家信任度は下落した。首脳間の通話はおろか、韓国を訪れたトランプ米政権の閣僚も皆無だ。今週ハワイ、フィリピン、日本を訪問するピート・ヘグセス国防長官が訪韓日程を土壇場で取り消すと、トゥルシー・ギャバード国家情報長官（ＤＮＩ）も日本を含んだ４カ国を訪問しながら韓国は除いた。大統領権限代行まで職務停止した状況と無関係ではないだろう。
民主党は国益を害した相次ぐ弾劾を謝罪すべきなのに、むしろ憲法裁の決定に遺憾を表明して混乱を煽（あお）り立てている。思い通りにならなければ、皆蹴飛ばすのか。韓首相は職務復帰直後の対国民談話を通じて「大韓民国が今の危機局面を乗り越えて、もう一度上と前に向かって跳躍できるように与野党の超党派的協力を切にお願いする」と訴えた。民主党は今からでも韓首相を助けて国を安定させる努力をしなければならない。韓首相の復帰で名分も実効性も消えた崔相穆経済副首相の弾劾カードからまず取り下げるべきだ。
与党・国民の力の中では韓首相の復帰を尹大統領復帰の青信号と解釈する声が出ている。権寧世非常対策委員長は「大統領に対する弾劾訴追の結果も肯定的に解釈できないかと慎重に期待する」と表明した。性急で軽率な発言だ。非常戒厳を宣言した尹大統領と非常戒厳を止めようとした韓首相の弾劾審判の件は別だ。都合のいい解釈をして支持層に過度な期待感を持たせることは慎まなければならない。韓首相には、トランプ発の貿易・外交リスクなど、国内外の懸案管理に万全を期してもらいたい。
（３月25日付）
「セゲイルボ」
