トップ国際ロシア新SNS導入で国民を監視へ ロシア当局が通信内容を把握 戦争反対市民をあぶり出し

新SNS導入で国民を監視へ ロシア当局が通信内容を把握 戦争反対市民をあぶり出し

ベラルーシの首都ミンスクで開かれた経済フォーラムに出席したロシアのプーチン大統領=6月26日(AFP時事)
ベラルーシの首都ミンスクで開かれた経済フォーラムに出席したロシアのプーチン大統領=6月26日(AFP時事)

ロシアのプーチン大統領は、政府公認のSNS「MAX」の導入を決めた。MAXは暗号化されておらず、政府が通信内容を把握することが可能となる。(繁田善成)

ロシアのウクライナ侵攻の今後について、ロシアのエリート層の間では二つのシナリオがささやかれている。

第1のシナリオは「プーチン大統領の勝利」。具体的には、ロシア国民に対しプーチン大統領が、“自らの勝利”として提示できる結果を達成するまで、戦争を続けることだ。

戦闘が膠着(こうちゃく)状態にある現状では、その結果を得るまでにさらに数年を要するかもしれない。一方でプーチン大統領がその地位を保つ上で、この半永続的な戦闘状態は有利に働く。

第2のシナリオは「戦争終結」である。これは「プーチン体制の維持」を目的に、早い段階で、ロシアのメンツを守ることができる条件で戦争を終結させることだ。

この二つのシナリオの背景には、ロシアのエリート層が抱える「世代交代」という事情がある。彼らの多くが、その権力と資産を子供に継承する時期を迎えているのだ。

ここにはウクライナの人々の生命や生活という観点はない。権力と富を継承させ、それをさらに強化する上で、戦争の「継続」と「終結」のどちらに利があるのかということだ。

エゴイズム以外の何物でもないが、その判断によってロシアのエリート層は「戦争継続派」と「戦争終結派」に分裂している。

ただ、どちらにせよ「プーチン体制」下で権力と富を享受している人々であり、体制の存続という部分では利害が完全に一致している。

最近、国防省幹部の逮捕や、政府系企業幹部の不審死が続いているが、その背景には「継続派」と「終結派」の主導権争いが背景にあるとの見方も強い。

エリート層の支持の上に立つプーチン大統領は、最終的にどちらかを選択しなければならなくなるだろう。そして「戦争継続派」が勝利した場合、プーチン政権は次の段階として、戦争終結派のエリート層だけでなく、戦争に反対する一般市民を弾圧し、戦時体制をさらに強化することになるだろう。

戦争終結派・戦争に反対する一般市民をあぶり出す手段と目されているのが、政府公認で開発されたMAXだ。ロシア政府は9月1日から、ロシアのすべてのスマートフォンにMAXをプリインストールすることを義務付けた。

MAXは、チャットや通話、行政サービス、決済機能やデジタル証明書など、さまざまなサービスを統合したプラットフォームとなる予定だ。

すでに教育省は、保護者とのチャットや生徒の電子日記へのアクセスを対話アプリ「ワッツアップ」で行っていたすべての学校に、MAXへの切り替えを指示した。

並行して政府は、ワッツアップや、秘匿性の高いSNS「テレグラム」の速度低下と、その後の停止の可能性について、メディアを通じて繰り返しメッセージを発している。

MAXの通信内容は当局に公開されており、「不適切な投稿」に「いいね!」をしたユーザーを手に取るように把握することが可能だ。

もう一つ、好ましくない人物に対する政治的な訴訟をでっち上げる上で、大きな助けとなる法律が制定された。「過激派コンテンツの検索に関する法」であり、人々は「過激派」コンテンツを検索しただけで罰金を科せられることになる。

誰もが一度くらいは「過激なコンテンツ」を「検索・閲覧」したことはあるはずだ。なぜならロシアでは毎年、新しい組織が過激派に指定されているからだ。同法では、例えば2025年に「過激派」と認識された組織のウェブサイトを2019年に閲覧していれば、それだけで責任を問われる可能性がある。

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