●アメリカとロシアの舌戦
ロシアは2022年2月にウクライナに侵攻したが今も勝利できない。ロシア軍の一部はウクライナの首都に迫ったがウクライナ軍に撃退された。さらにウクライナ北部から完全撤退しウクライナ東部に戦力を集めて戦線を維持している。
ロシア軍の弱体化が国内外で認知されるとロシアは軍隊ではなく核兵器の存在を増大させた。ロシアは何度も欧米に対して核兵器の存在を匂わせながら欧米によるウクライナ支援を牽制している。さらにロシアはNATOの直接介入を嫌い、その度に核兵器を匂わせている。
とロシアのプーチン大統領(AFP時事)-1024x716.jpg)
■ロシア前大統領、トランプ氏の批判に応酬 核報復システムに言及
https://jp.reuters.com/world/ukraine/XRYDFTO6DZM4RIMW7XL5SGOJIU-2025-07-31/
トランプ大統領がアメリカの大統領になるとウクライナとロシアの停戦交渉を行うが頓挫した。トランプ大統領は不満をロシアに向けると舌戦の応酬に至った。アメリカとロシアの核兵器を用いた報復攻撃までエスカレーションしかねない状況に至っている。
●核兵器に頼るロシアとアメリカの対応
トランプ大統領はウクライナとロシアの停戦交渉を開始するがロシアのプーチン大統領は停戦ではなく戦争継続を選んだ。トランプ大統領は気付くことが遅れて不満が爆発する。これでトランプ大統領はロシアへの経済制裁を行うが、ロシアは懲罰的関税と見なして反発した。
この最中にトランプ大統領がロシアに向けて「言葉に気をつけろ」と怒ると、ロシア国家安全保障会議副議長のメドベージェフ前大統領は、「ロシアが核攻撃能力を保有していることを忘れてはならない」と返答した。さらに「ロシアと貿易国に懲罰的関税を課すことはロシアとアメリカの戦争に一歩近づく」と続けている。
結論から先に言えば、ロシアは通常戦力ではなく核兵器でトランプ大統領を脅している。これは、ロシアはアメリカを核攻撃できないことの裏返し。米ソ冷戦時代の相殺戦略は別の顔を生み出した。それは、核保有国同士は国土の都市・インフラ・軍隊・基地に対する撃ち合いはしないという暗黙の了解だ。これは”政治家である自分たちは核兵器で攻撃されたくない”ことが本音なので米ソ冷戦時代は核戦争に至らなかった。
■トランプ氏が戦略配置を指示、米海軍の潜水艦とは
https://www.cnn.co.jp/usa/35236274.html?ref=rss
ロシア国家安全保障会議副議長のメドベージェフ氏が核兵器で脅すとトランプ大統領の決断は早かった。トランプ大統領はアメリカ海軍の原子力潜水艦2隻に対して“適切な地域”への配備を命じたと明らかにした。実行される原子力潜水艦2隻と適切な地域は不明だが、アメリカとロシアの舌戦がエスカレーションしていることは間違いない。
●ロシアとアメリカの思惑の違い
ロシアは弱体化したロシア軍を補う目的で核兵器への依存度を高めている。そのための移動手段として弾道ミサイルの配備を露骨に進めている。プーチン大統領は新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」の大量生産が始まり実戦部隊に配備されたと明らかにした。オレシュニクは2024年11月にウクライナ東部の都市ドニプロへの攻撃で初めて実戦で使用された。さらにプーチン大統領は2025年の年末までに同盟国ベラルーシにもオレシュニクを配備する方針を明らかにした。
■プーチン大統領 “新型中距離弾道ミサイルを大量生産し配備”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250802/k10014883141000.html
オレシュニクがウクライナ東部への攻撃に使われたのは事実だが、ウクライナ軍施設を破壊したとは伝えられていない。つまり命中精度が悪いのだ。確かにウクライナ軍の防空システムを突破できても命中精度が悪いから通常弾頭では効果は得られない。だがオレシュニクの弾頭が核兵器であれば命中精度の悪さを補える。これは“敵の防空システムを突破できるからヨシ!”の考えなのだろう。
ロシアから見れば敵の防空システムに迎撃されないなら核爆発に至るので欧米に対して脅しになる。これで欧米によるウクライナへの軍事支援停止とNATOが参戦することを止めようとしている。
これがロシアの思惑だがトランプ大統領の思惑はヨーロッパ諸国とは少し異なると思われる。何故ならトランプ大統領は中国を敵視している。そんな時にトランプ大統領はアメリカ海軍の原子力潜水艦2隻に対して“適切な地域”への配備を命じたと明らかにした。表向きはロシア対策だが、同時に中国の人民解放軍に対する対応にもなっている。
アメリカ海軍の原子力潜水艦2隻が何処に配置されるか不明だから、ロシア対策を隠れ蓑にして中国による台湾侵攻に備えた動きを隠すことができる。これがトランプ大統領流の欺瞞かは不明だが、今の国際状況から見ると中国を刺激しないように戦力移動を進めていることになる。
●人命軽視のロシア軍
今のロシア軍がウクライナ侵攻で動員した正確な人数は不明。さらにロシア軍の損害も各国で異なることが多い。アメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)と国際戦略研究所(IISS)のデータでは2025年の段階で90万人前後の死傷者であり25万人前後の戦死と報告されている。2024年9月にプーチン大統領が増員を命令しているので150万人規模の動員と推測される。そうなるとロシア軍の損害率は60%以上と推測される。
【国土の大半が戦場になったソ連(爆撃と敵軍が侵攻した)】
・動員数:約2400万(損害率89.6%)
・戦死者数:750万
・戦傷者数:1400万
・戦死と戦傷者の比:1対1.9
・非戦闘員の死者数:1250万(戦死者数の約167%)
・アメリカの動員兵力数:1490万(損害率5.7%)
・イギリスの動員数 :620万(損害率14%)
・ドイツの動員数 :1250万(損害率78.6%)
・日本の動員数 :740万(損害率27%)
第二次世界大戦時のソ連軍の損害率は89.6%なので、今のロシア軍が同じ人命軽視ならば損害率89%まで戦闘継続できることを示唆している。ソ連時代のスターリンは独裁を用いて戦争したので軍隊の損害率は89.6%。今のロシアはプーチン大統領によりソ連時代の独裁に先祖返り。ロシア軍は人海戦術でウクライナ軍を攻撃しているが損害増加を止められない。これは第二次世界大戦でドイツ軍相手に人命軽視の攻撃でドイツ軍に勝利しているから、これが悪しき前例となり、困った時の人命軽視の攻撃が正当化されている。
ウクライナ軍の動員数は88万人、死傷者は37万人とされるから損害率42%。この状況を見るとウクライナ人が諦めたらウクライナの敗北確定。このためウクライナ人が諦めなければロシアに勝利できる状況だ。
●軍事支援でウクライナに勝利を
日本の仮想敵国の一つはロシア。ソ連時代からロシアに変わっても日本侵攻を想定している。だからロシアは日本の仮想敵国の一つ。そんな時にロシアがウクライナに侵攻し損害を増大させている。これが原因でロシア軍極東のロシア軍がウクライナへ配置されている。これは日本への脅威が低下していることを意味し、悪く言えばウクライナとの戦争が長期化すると日本の国防が有利になる。
だから日本は欧米と連携しウクライナ支援をすることは日本の国防に繋がる。欧米がウクライナを支援する理由は、仮想敵国であるロシアに対してウクライナを使い代理戦争させる間接的な戦争。この間接的な戦争は国際社会で多用される策であり、自国の損害を出さずに仮想敵国を弱体化させる古典的な策。
日本がウクライナに対して行った支援は欧米よりも少ない。だが支援に参加するだけで仮想敵国ロシアを弱体化できた。今の日本は政治家の無駄遣いで税金が消えているのは事実。だが外国への支援で必要なモノと不要なモノがある。日本がウクライナに対して行う支援は国防に繋がり国民の生命を守る。だから必要な支援になる。
何故ならロシアが敗北すればロシアが居座る北方領土を奪還することが可能。北方領土は北方四島だけではない。千島列島と南樺太も日本の領土だった。ウクライナがロシアに勝利すれば日本は軍事支援の対価として北方領土が日本に戻る。この現実を見るべきだ。親ロ派がウクライナ支援を政治家の無駄な支援と一纏めにしているのは、この現実から日本人の関心を外すことが目的だ。





