トップ国際ロシアロシア経済が急減速 軍事費に国家予算の40%超

ロシア経済が急減速 軍事費に国家予算の40%超

首都モスクワの「赤の広場」で、旧ソ連の対ナチス・ドイツ戦勝80年記念日に際して演説するロシアのプーチン大統領=5月9日(EPA時事)
首都モスクワの「赤の広場」で、旧ソ連の対ナチス・ドイツ戦勝80年記念日に際して演説するロシアのプーチン大統領=5月9日(EPA時事)

求心力の維持に躍起

欧米を中心とした対露経済制裁にもかかわらず、ロシアは軍への巨額の財政出動による「戦時経済」により好景気に沸いてきた。しかし、ここにきて高いインフレ率などが足かせになり国内総生産(GDP)は急減速し、「国内経済は既にリセッション(景気後退)の瀬戸際にいるように見える」(レシェトニコフ経済発展相)という状況に陥った。(繁田善成)

ロシア・チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長(大統領)の三男アダム氏(17)の婚礼が先月28日に行われた。プーチン大統領が婚礼の祝いを送ったほか、ロシアのマントゥロフ副首相、イランやアラブ首長国連邦(UAE)、トルコやカザフスタンの大使らが出席した。

そのアダム氏は婚礼会場に、メルセデス・ベンツGクラスの限定車に乗って現れた。今年4月16日に発表された、世界460台の限定販売モデルで、ドイツでの価格は19万㌦(約2793万円)である。

欧州連合(EU)は対露経済制裁の一環として、5万ユーロ(約860万円)を超える車両の輸出を禁止した。しかし、モスクワの街角に立てば、欧州で2023年以降に生産された5万ユーロを超える自動車が走っているのを見ることができるだろう。

ロシアは3年半にわたるウクライナ侵攻で、制裁の「抜け道」も学んできた。

ロシア産の原油は、中国やインドなどを経由して世界に輸出されており、また、一部では第三国の旗を掲げたタンカーでも運ばれている。ロシアから正式に撤退したとされる一部の外国企業は、仲介業者を通じてロシアの消費者に商品を供給している。アダム氏が乗るGクラスも、同様にしてロシアに持ち込まれたのだろう。

このようにして経済制裁をかいくぐり、また、国家予算の40%以上を軍事支出に充てる「戦時経済体制」を進めることで、ロシアは好景気に沸いてきた。

軍需工場はフル稼働し雇用が急増し、この影響でロシアの平均賃金は約1・5倍に増加した。カネ回りが良くなったことで消費意欲は拡大した。

しかし、その状況に黄信号がともった。軍事支出の拡大は高インフレを招き、経済に悪影響をもたらし始めた。

7月1日以降、ロシアの住宅・公共サービス料金が平均して15~22%、一部地域では40%値上げされ、過去最高となった。対露経済制裁を受け、小麦などの輸入種子の購入を取りやめたことで、小麦や、ジャガイモなどの生産低下に直面している。

国際通貨基金(IMF)によると、ロシアの実質GDPは23年の前年比4・1%増、24年の同4・3%増に対し、25年は1・5%増にとどまる見込みだ。

レシェトニコフ氏は6月19日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで「国内経済は既にリセッション(景気後退)の瀬戸際にいるように見える」と発言した。

プーチン氏は、国防費がGDPの6・3%に達していることについて「多い」と述べるなど、軍事支出の増大が経済に悪影響を与えているという認識も示した。

政府が景気後退を懸念しているためか、ロシアの愛国心をあおるプロパガンダが一層強化されている印象がある。

ウクライナに近いロシア西部だけでなく、モスクワ近郊などへのドローン攻撃が頻発しているが、これらはすべて、ロシア国内に潜むウクライナの破壊工作員や、ロシアの裏切り者が手引きしたものだとして、国内の反体制派に責任をなすり付けている。

「いまいましいウクライナ人、アングロサクソン人、アメリカ人」への憎悪をかき立てるプロパガンダを展開し、国家の求心力を保つことに躍起だ。

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