トップ国際ロシアジャガイモが急騰かつ不足 ロシア 戦争経済が根本原因

ジャガイモが急騰かつ不足 ロシア 戦争経済が根本原因

【ウィーン小川敏】日本では主食のコメの価格が高騰して国民が苦労しているが、ロシアでは目下、主食の一つジャガイモ不足が深刻で、価格も急騰して国民の不満が高まっている。

ロシアのプーチン大統領は先月27日、「農業関係者らと会談し、国内のジャガイモ不足の深刻さを知った」と述べた。また隣国ベラルーシのルカシェンコ大統領から、同国でもやはり「ジャガイモの備蓄が不足している」と聞いたとした。

ドイツ民間放送ニュース専門局n-tvによれば、ロシアでの「ジャガイモの価格はすでにかなり前から高騰している」「ロシア連邦国家統計庁によれば、小売価格は2024年、前年比92%上昇。今年5月は前年比166.5%に上昇」というから、その危機的な状況が伝わってくる。

ジャガイモの価格上昇は、異常な霜と長引く干ばつによる不作が主因と説明されている。ロシアは2024年に720万㌧のジャガイモを収穫したが、これは前年比120万㌧減。オクサナ・ルート農業相によれば、ロシアは年800万㌧の穀物を必要としている。不足分は従来、隣国ベラルーシから輸入してきた。

日本人の食生活は欧米化が進んだといっても、コメが手に入らなくなれば、社会生活は混乱し、治安も悪化する。同じように、ロシアでジャガイモが不足すれば、ロシア国民は騒動を起こすかもしれない。ジャガイモは食卓を飾る基本的食糧というだけではなく、ウオッカの製造に欠かせないからだ。

一方、ロシア全土は戦争体制である。国防費は現在、経済生産の7%、公式に政府支出の3分の1を占めている。事実上、手に入る資源はみな軍事企業によって吸収され、至る所で労働者が不足している。経済全体の成長が防衛部門に依存している。プーチン氏に戦争経済が必要であり、そして戦争経済には戦争が必要な状況である。結局、プーチン大統領による戦争経済が、国民から主食ジャガイモを奪う根本原因になっているのだ。

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