トップ国際北朝鮮【連載】2026世界はどう動く(12) 北朝鮮 中露後ろ盾に核・ミサイル強化

【連載】2026世界はどう動く(12) 北朝鮮 中露後ろ盾に核・ミサイル強化

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軍需工場を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(中央)=撮影日時、場所不明。朝鮮中央通信が 2025 年 12 月 26 日配信(AFP時事)

 ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに精鋭部隊を派遣し、大量の弾薬を提供することで、ロシアから外貨を獲得し、軍事技術を導入したとみられる北朝鮮は、今年もロシアを最大の後ろ盾にするものとみられる。

 朝鮮労働党機関紙「労働新聞」によると、金正恩総書記は5日、ロシアで戦死した軍人たちの「偉勲」を称(たた)える巨大な記念館の建設現場を党幹部らと訪れた。正恩氏は戦死者たちを「党の命令に絶対忠誠を誓い、祖国の尊厳と名誉のため命まで捧(ささ)げる軍隊は、この世の誰にも真似(まね)できない」と持ち上げ、国内向けに派兵を正当化。今後も派兵を続け、ロシアからの支援を当て込む可能性が高い。

 北朝鮮はしばらく関係が疎遠だったと伝えられていた中国とも親密ぶりを誇示した。昨年9月、正恩氏は中国抗日戦勝80周年記念式に出席し、習近平国家主席と6年ぶりに会談した。軍事パレードでは天安門楼上に習氏を挟んですぐ両隣に正恩氏とロシアのプーチン大統領が並び、中露朝3カ国の結束までアピールした。国際社会による経済制裁の長期化を克服できるという正恩氏の自信感の表れであり、今年も中露との協力を軸に経済難などの課題を克服したい考えだ。

 すでに数十発保有しているとみられる核兵器の量産や各種弾道ミサイルの高度化などにも拍車を掛けるとみられる。

 4日に実施されたという極超音速ミサイルの発射実験を視察した正恩氏は、訓練を「核戦争抑止力の高度化」のためだとし、「なぜ必要なのかは、最近の地政学的危機と多端な国際的出来事が物語っている」と述べた。直前に発生した米国によるベネズエラ軍事作戦を意識し、核保有こそが米国の攻撃を抑止できるという自己防衛本能の表れだ。

 トランプ米大統領が意欲を示す正恩氏との首脳会談が実現するとすれば、非核化が議題になる可能性は低く、核保有国同士の軍縮会談になるとの見方が多い。北朝鮮にある一部核施設の破棄や今後の核兵器生産の凍結などで米朝が「手打ち」した場合、日本や韓国が北朝鮮の核脅威に常時さらされることを米国が容認する結果になりかねない。

 韓国との関係を「敵対的2国家」と宣言して以降、南北間の対話・交流・協力を遮断している北朝鮮は、今年も韓国への対決姿勢を続ける可能性が高い。南北統一への機運は高まらない一方、水面下では韓国社会の左傾化をより進行させるため、北朝鮮による対南工作が続くと専門家は見ている。

 日本としては、北朝鮮による日本人拉致の問題解決に向け、北朝鮮側との交渉進展が待たれる。水面下の接触は行われてきたというが、具体的進展はないままのようだ。北朝鮮は「拉致を議題にしない」ことを条件に巨額の戦後補償を念頭に置いた国交正常化交渉への道筋を付けたい考えとみられ、今年も事態打開は簡単ではなさそうだ。

 世界で唯一3代世襲が続く独裁国家の北朝鮮が、4代世襲に向け後継者をどう擁立するのかという点も注目される。娘・金ジュエ氏のメディア露出度が多い中、果たして封建的な北朝鮮で初の女性最高指導者が誕生するのか、あるいはベールに包まれた息子への後継がすでに着々と準備されているのか。今年も国際社会の関心を集めそうだ。

 その独裁者を崇(あが)めることを強要され、基本的な人権すら奪われて生きなければならない北朝鮮住民の惨状が事実上放置されて久しいことにも改めて目が向けられる必要がある。世界各地の戦争や飢餓などに苦しむ人々と同様に、北朝鮮住民を救うことは日本をはじめ国際社会の課題と言える。

(ソウル上田勇実)

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