【ワシントン川瀬裕也】マルコ・ルビオ米国務長官は18日、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長と、セネガル出身のアブドゥライ・セイ上級法廷弁護士を制裁対象に指定すると発表した。米国やイスラエルなど、ICCの管轄権を受け入れていない国の当局者に対する捜査や訴追に関与したことを理由としている。トランプ政権はICCを米国の主権を脅かす存在と位置付け、圧力を一段と強めている。

制裁は、トランプ大統領が昨年2月に署名した大統領令に基づく。赤根、セイ両氏が米国内に保有する資産は凍結され、米国人との取引も原則として禁止される見込みだ。ルビオ氏は声明で、ICCを「腐敗し、極度に政治化された超国家的裁判所」と批判し、「国家主権への攻撃を容認しない」と強調した。必要に応じて追加措置を取り、ICCが米国の主権を脅かせなくなるまで圧力を続ける方針も示した。
セイ氏は、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相に対する逮捕状を請求した検察チームの上級法廷弁護士。ICCは2024年11月、パレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡る戦争犯罪や人道に対する罪の疑いで、ネタニヤフ氏と当時のガラント国防相に逮捕状を出した。米国とイスラエルはいずれもICCの設立条約であるローマ規程の締約国ではなく、ICCによる自国民への管轄権行使を認めていない。
トランプ氏はICCへの対決姿勢を鮮明にしており、7月31日の閣議では、政権によるICCへの圧力について、自身を訴追から守ることが目的ではないとした上で、ネタニヤフ氏らを守るためだと説明。同月20日には、ICCから逮捕状が出ているネタニヤフ氏について、訪米した際に「米国にいる間、いかなる形でも逮捕されることはない」とSNSに投稿した。ニューヨーク市のマムダニ市長がネタニヤフ氏の逮捕を検討していると発言したことを受け、これをけん制した形だ。マムダニ氏はその後、市には逮捕状を執行する法的権限がないとの結論を示した。
トランプ氏は昨年2月の大統領令で、ICCが米国と同盟国イスラエルを標的に「不当で根拠のない行動」を取っていると批判。ICCによる米国人やイスラエル人への捜査、拘束、訴追を「米国の国家安全保障と外交政策に対する異例かつ重大な脅威」と認定し、ICC関係者への資産凍結や入国制限を可能にした。政権はこれまでもICCの検察官や複数の判事を相次いで制裁対象としている。
一方、ICC側は今回の制裁について「法の支配を損なう」と反発。裁判官や検察官らが法を適用したことを理由に威圧されれば、「国際法秩序そのものが危険にさらされる」と表明し、職員を支持して活動を継続する姿勢を示した。







