【ワシントン川瀬裕也】トランプ米大統領は6日、米国内で生まれた子供に原則として米国籍を与える「出生地主義」を見直す二つの新たな大統領令に署名した。6月に連邦最高裁が出生地主義を制限する従来の大統領令を退けたことを受け、今回は外国政府関係者らの子供などに対象を絞った。人権団体などは反発しており、再び法廷闘争に発展する見通しだ。

一つ目の大統領令は、外国政府職員や米国の「敵性外国人」と認定された人物の子供などについて、出生による自動的な米国籍取得を制限する内容だ。子供に米国籍を取得させる目的を隠して入国し、米国内で出産したケースも対象とした。
もう一つは、いわゆる「出産旅行(バースツーリズム)」への対策強化で、国務省や国土安全保障省に対し、ビザ発給や入国審査の厳格化を指示した。トランプ氏は「人々が制度をビジネスとして利用している」と述べ、制度悪用を防ぐ必要性を強調した。
米憲法修正第14条は「米国で生まれ、または帰化し、その管轄に服するすべての者」を米国民と規定している。1898年の最高裁判決以降、外交官の子供など一部の例外を除き、米国内で生まれれば親の国籍や在留資格にかかわらず米国籍が認められてきた。
トランプ氏は2期目就任直後の昨年1月、不法滞在者や一時滞在者の子供への市民権付与を制限する大統領令に署名した。しかし各地で訴訟が起こされ、連邦地裁が相次いで発効を差し止めた。最高裁は今年6月30日、6対3で大統領令を退け、出生地主義に対する広範な制限を認めなかった。
今回、政権は対象を限定し、従来から存在する出生地主義の「例外」を広げる形を取ることで、最高裁判決との抵触を避ける狙いがあるとみられる。ただ、人権団体などは新たな措置も憲法に反するとして提訴する構えを見せている。







