トップ国際北米米安保戦略 前面に「勢力圏」戦略 中南米からの中国排除打ち出す

米安保戦略 前面に「勢力圏」戦略 中南米からの中国排除打ち出す

トランプ米大統領=15日、ホワイトハウス(EPA時事)

 第2次トランプ政権の最初の1年が終わろうとする中、新たな対外政策ドクトリンの輪郭が次第に明らかになってきた。専門家らはこの新政策を19世紀型の「勢力圏」アプローチと呼ぶ。中南米を米国の影響下に置くとともに、この地域からの中国排除を明確にした。

 多くの専門家は、政権が11月に作成した2025年「米国家安全保障戦略」について、「勢力圏」アプローチが本格的に動き出している現実を確定付けたという点で一致している。まず、米国が中南米を自国の裏庭と公式に位置付け、地政学的競争相手、すなわち中国をこの地域から排除する決意を示した。

 安保戦略は、米国が「モンロー主義に対する『トランプ補論』を主張し、実施する」と明記している。これは、欧州に中南米への不介入を求めた19世紀のモンロー大統領の宣言と、同地域で米国が国際警察として行動する権利を主張したセオドア・ルーズベルト大統領の「ルーズベルト補論」の双方を取り入れた表現だ。

 この戦略は、米国の国家安全保障・外交政策関係者の間で議論を呼ぶとともに、トランプ大統領が同盟国を見捨てようとしているとして一部の欧州同盟国の強い反発を招いている。

 国家情報長官室の元北朝鮮担当部長で長年外交官を務めたジョセフ・デトラニ氏は、政権が、ルールに基づく国際秩序の追求よりも、米国の中核的な国益の保護と促進を優先していることを明確にしていると指摘した。

 デトラニ氏はワシントン・タイムズへの寄稿で、「世界秩序の保証人としての米国に別れを告げることは、多くの同盟国やパートナーにとって容易ではないだろう。今後は自国の防衛と安全保障に、より多くの責任を負うことが求められる」との見方を示した。

 同氏は、欧州や中東の優先度を下げる一方、「西半球」を「米国にとって最優先の安全保障地域」と位置付け、「国境管理、大規模移民、麻薬取引、国際犯罪、テロリズムを国家安全保障上の主要な脅威とする」点を強調した大胆な戦略を支持した。

 同時にデトラニ氏は、安保戦略が「インド太平洋地域の重要性にも正しく焦点を当てている」とし、「地域の同盟国やパートナーの支持を得ることが、この国家安全保障戦略の重要な要素になる」と強調した。

 一方で、勢力圏ドクトリンへの転換に注目し、グリーンランドやパナマ運河を巡る米国の動き、カリブ海での大規模な軍備増強を、西半球で米国が新たな勢力圏を構築するための広範な戦略の一環とする見方もある。

 勢力圏という考え方は、帝国主義が拡大し、各国が世界を分割しようとした19世紀に外交の主流となった。だが、第2次世界大戦後は、各国が世界的な自由市場を追求する中で、次第に支持を失った。

 一部専門家は、勢力圏への回帰が西半球に重大な経済的・安全保障上の影響を及ぼす可能性があると警告する。

 ブルッキングス研究所の上級研究員、バンダ・フェルバブブラウン氏は、「この地域の国々に対し、米国が望んだことを一方的に押し付けられると考えている点は衝撃的だ。モンロー主義は中南米では不人気で、米帝国主義と受け止められてきた。米国は優勢だったが、同時に極めて不人気だった時代への回帰だ」と指摘した。

 安保戦略は、中国を念頭に置き、西半球での「敵対的な外国勢力による侵入や重要資産の保有」を拒否、「同地域でインフラを建設する外国企業を排除するため、あらゆる努力を行う」としている。

 ホワイトハウスが中南米の指導者らに中国との取引停止を説得できるかどうかについては、懐疑的な見方も多い。

 シンクタンク「クインシー研究所」グローバル・サウス・プログラムの責任者サラン・シドア氏は、「中国はペルー、ブラジル、チリ、限定的だがコロンビア、さらにアルゼンチンにも進出している。インフラ建設では、中国は安価かつ大規模に実行できるが、われわれはその能力を失ってしまっている」と指摘した。

(ワシントン・タイムズ特約)

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